
中編
赤い服の女
匿名 2019年7月29日
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私が高校生の頃。
学校から家までがかなり遠いと言う事もあり、うちの母親がたまに学校まで車で迎えに来てくれていました。
その帰り道、他にも何本も家に帰るルートが有るにもかかわらず、ウチの母親は決まってとある交差点を通ってました、私がそこを通るのが大嫌いだと知っていながら。
そもそも、私は母親に対して
「迎えなんか必要ない、かえって迷惑だ!」と告げていました。
にもかかわらず、ウチの母親は相当な馬鹿なのか、それとも計算尽くしていたのか、しつこく迎えに来たがります。
一度、母親の言うことを無視して1人で勝手に帰りましたが、凄い剣幕で怒られました。
話は戻りますが、とある交差点。
何故に私は嫌だったかと言うと。
そこにはこの世の者では無い赤い服を着た女が立っていたんです。
切り裂かれた様な赤いドレスはまるで血の様な色をし、乱れた長い黒い髪は顔の半分を隠し、髪の間から覗かせる顔は漆喰の様に白く、その唇は生気を失い青白くなっり、何よりも恐ろしいのは、鋭く尖った目がこちらをずっと睨み、目があった瞬間、獲物を捕らえたかのように少し笑うのです。
そんな女が立っているにもかかわらず。
ウチの馬鹿母親ときたら、何度も何度もその交差点を通りました。
ある日、母親に
「母ちゃん、俺、ここの交差点通りたく無い」
と言いました。
「何でさ?」
「家に着いてから話す」
と言い、その女の前でその女の話をしたくなかったので、家まで我慢しようとしました。すると母親が、
「訳の分かんない事言ってんなら置いていくぞ」
と、訳の分からない事を言い出し、こんな所に置いて行かれたくもなかったので、その女の前でその女の話をせざるを得なくなり、母親に話すと
「馬鹿馬鹿しい、下らない事言って無いで勉強でもしてろ!」と吐き捨てる様に言われました。
その日の夜、兄貴が帰ってくるなり。
「おい、○○。お前厄介な奴連れて来やがったな!」
と私に話かけてきました。
ウチの兄貴も見える人だったので、ウチの中にその女が入り込んでる事に気づいたそうです。
『やっぱり着いてきちゃったか〜』
幽霊なりなんなりは、自分の存在に気づいてくれる人間を見つけると、嬉しいのか何なのか分かりませんが、着いてきます。
憑依とは違って、体を乗っ取るとかでは無いのですが、自分を認めてくれる人と一緒にいたいのでしょうね。
兄貴と2人で家の中に塩を巻き、人の形に切り取った紙(ひとがた)を燃やし、私から離れていって下さいとお祈り致しました。
母親は、馬鹿息子2人の行動を呆れた様な目で見てました。
内心、『母ちゃんを連れて行って下さい』と思いましたが、連れて行ってくれませんでした。
兄貴と2人で出来る限りの事をしましたが、その女は帰ってくれませんでした。
兄貴の彼女がウチに泊まりに来た時も、その女と遭遇したらしく怯えて帰って行きました。
その女は私に着いているらしく、ちょっと霊感のある同級生には毎回その女の事を言われました。
卒業アルバム用の写真を撮影した際は、写真に映り込んだ事もあった様でして、何度か撮り直しさせられましたが、全て編集しきれなかったらしく、心霊写真が卒業アルバムに載ってしまってます。
拾ってきてしまってからも、母親のせいで何度かその交差点を通る羽目になりましたが、その時は見る事はありませんでした。(私の後ろにいるので当然かもしれませんが)
私が家でその女と遭遇したのは、寝ている時と、風呂に入っている時で、ブツブツと何かを言っていましたが聞き取れませんでした。
一度、「母ちゃんを金縛りにかけてくれ」とお願いしたら、数日後に本当にかかったらしく、してやったりと思いました。
しかし、私が高校を卒業すると急に居なくなり、不思議な出来事はその後1つも起こらなくなります。
その女は今でもあの交差点に居ると思います。次なる友達を求めて。
後日談:
- 数年後、テレビの本怖で、この赤い服の女と同じ様な幽霊の話が放送されていたので、私の他にも遭遇した人が居たんだなと思いました。 赤い色の幽霊はヤバイとの通説が有りますが、私が遭遇したこの幽霊は、私自体に危害を加える事は一切有りませんでしたが、母ちゃんと兄貴は少なからず実害が有った様です。笑
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