
それは冬が本格的に訪れようとしている12月のこと。
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俺は廃工場の清掃作業での疲労感に苛まれ、薄暗い休憩室の古いソファに横たわっていた。体は重く、何かが心底嫌になっていた。頭の中はぼんやりとしていて、吐き気がする。
目が覚めたのは、昼過ぎのことだった。体温計を脇に挟み、測ると37度5分。微熱だ。
「このまま横になっていてもしょうがない」と思い、立ち上がったが、ふらついて洗面台の鏡を覗き込んだ瞬間、愕然とした。自分の顔が異常に腫れ上がり、まるで別人のように見えた。赤い発疹が点々と出来ている。
─これは一体なんだ?
その時、携帯電話が鳴った。画面を見ると、隣人の佐藤からだった。
「もしもし」と取ると、彼の声が不安そうに聞こえてきた。
「おい、変なことになってる。俺の顔が見てられないくらい腫れてるんだ。お前も?」
不安が胸を締め付ける。佐藤はこの工場での作業を手伝ってくれている。彼は続けて言った。
「それに、あの薬品のサンプル、使ったよな?あれ、どうもおかしい。」
俺は数週間前、工場での新しい薬品のテストを受けたことを思い出した。あの時、俺たちは報酬をもらうために、何も考えずに同意してしまった。
「大丈夫だろう、あれは安全だって言ってたんだから」と強がるも、心の奥底では不安が広がっていく。
「でも、俺の顔、見てみ?鏡で確認しろよ」と佐藤が言った。
─どうしよう。
俺は急いで鏡の前に立ち、自分の顔を見た。赤い発疹が全身に広がっている。まるで皮膚が腐っていくようだった。
その時、再び携帯が鳴った。佐藤からだった。
「今、工場に誰かが来た。白衣を着た男たちが、俺たちを探してる。早く逃げろ!」
逃げる準備をする間もなく、廃工場のドアが開かれ、数人の白衣の男たちが入ってきた。
「政府の者だ。協力を求める!」
俺は恐怖で身動きが取れず、そのまま捕まってしまった。白衣の男たちに引きずられ、外に出される。冷たい風が顔に当たり、体が震える。
その瞬間、ラジオから流れてきたニュースが耳に入った。
「原因不明の奇病が広がっており、現在重症者が急増しています。政府は緊急対策を講じています。」
俺と佐藤の顔は、もう二度と見ることができないほど、変わり果てていた。何もかもが悪夢のようで、目の前の現実が信じられなかった。
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