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長編

鏡の前で…

匿名 2021年11月26日
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俺の友人(M)の話。 俺とMは、中学の時知り合いになって、学校が休みの日には、良く遊びに行ったりしていた。 Mは、オカルト系や心霊類いのものが好きで、良くそういった話を聞かされていた。 俺は、ビビりな方で、霊感とかも全くないから、そういう話はやめてくれと何度もMに言ってた。 だけど、Mの話を聞いてビビる俺の事を面白がって、余計に話された事を覚えている。 ある日の午前中。  祭日か何かで休みだった俺は、のんびりと寝ていた。そこへ、母の声で「M君が来てるわよ。起きなさい。」と言われ叩き起こされた。 約束もしていなかったはずなのに…と寝惚けたまま、玄関に向かうと、Mが興奮気味に「面白い話聞いたんだよ。俺ン家で試してみようぜ。」と言って、早く着替えて来いと言われた。 面白いと思ってるのは、お前だけだろう?と言いたかったが、ゴネても状況はいつもと変わり無いんだろうと、溜め息を吐きながら部屋へ戻り着替えて玄関に行った。 玄関脇から、自転車を出し、俺は、Mと一緒にMの家へ行った。 自転車をノロノロと走らせ、面白いものって何かをMに聞いた。Mは、ニヤニヤしながら、両親と妹が出掛けてる今しか出来ない事をやるんだみたいな話をされて、何をするのか?を聞いても着いてからと言うばかりだった。 俺は、少しイヤな予感がしていた。 以前にも似たような事があり、その時も先輩から聞いたとかいう、心霊系の事をやらされ怖い思いをしていたからだ。 Mは軽く口笛を吹いていた。 数十分後、Mの家に着いた。 自転車を玄関横の駐車場に止めて、Mの後ろに着いて玄関に入った。 「上がれよ。」とMがいい、Mは、飲み物持って行くから、先に2階に行っとけと言ったから、俺は、2階にあるMの部屋に行った。 1分もしないうちに、Mは、コーラのペットボトル2本を脇に抱え、手には菓子袋を持って部屋に入って来た。 相変わらず、心霊だのユーマだの気味の悪い雑誌やフィギュアがたくさんあって、良くこんな部屋で寝れるな…と思っていた。 コーラを飲み菓子を少し食べてから、俺は、「で?面白いものって何?」とMに聞くと、Mは、一冊のノートを俺に差し出した。 ノートを受け取り、ペラペラと捲って、イヤな予感が的中した。 そこには、心霊スポットや心霊系の交霊術やなんかそういうのが色々書かれてた。 少し引いた。 纏められたノートを見て固まる俺。そんな俺を見て面白そうに笑うM。前にも見た状況に、俺は、帰りたくなった。 そんな俺の考えが分かっているかの様なMは、何枚かページを捲り、人差し指で開いた所をトントンと叩いた。 そこには[幽霊が見れる方法]と書いてあり、手順も事細かに書いてあった。 俺は、別に幽霊なんか見たくねぇよ、みたいな顔をMに向けた。 Mは、笑いながら「やるのは俺。お前は、見届け人。で、もし俺が変な風になったら…」そう言って、小さな紙を差し出して「そこに電話掛けてくれ。」と言われた。 紙切れには、○○寺と書かれ紫○という名前?と電話番号が書かれていた。 紙切れから目を反らし顔を上げMの顔を見た。イヤな気しかしない。何故、態々、寺の誰だか分かんない人の電話番号をMが持っているのか? Mは、何をしようとしているのか? 俺は、足りない頭で色んな事を考えたり、思ったりしながら、Mに止めよう。止めた方がいい。こんな頼み事までして、やらなくてもいいじゃないか?と、なんか怖かったのと訳分からん感情が入り交じって、Mを必死に止めていた。 それでもMは「お前、必死過ぎ~。」とか言って笑ってるだけだった。 そう…何を言ってもMは、やると決めた事はやるヤツだった。止めても無駄だと、心の何処かで半分諦めてた。 そんな思いを巡らせてた俺そっち退けで、Mは鼻唄を歌いながら、なにやら準備を始めた。 妹の部屋から、姿見のデカイ鏡を抱えて、Mの部屋の前に置いた。 次に、1階へ降りて行き、小皿に盛り塩を乗せて戻って来た。途中、仏間に寄ったらしく、ローソクもポケットから出した。 俺は、怖くて見てるだけだった。 手伝う気にもならなかった。 ただ、準備を着々と進めるMに「止めよう。」を繰り返し言ってた。 10時ぐらいになった時、Mは、準備を終えた。 緊張してるのか?怖いのか?兎に角、やたら喋りまくってた。 暫く、二人で飲み食いした後、早くしないと両親達が帰って来ると言い、Mは、姿見の鏡の前に立った。 Mの部屋のドアは開いている。 部屋からは、Mの左側に鏡が見えていた。 そして、血の気が引いた様なひきつった顔をした俺に向かい、親指を立てて笑ってから、鏡と向き合い…。 Mが、鏡の前である事をしてから、部屋の中を覗き込む様な姿勢で見ていた。 その時、何か凄く臭いにおいがした。 水が腐った様な…ヘドロの様な…兎に角、吐き気を催す程の異臭が部屋の中に充満し始めた。 Mを見ると、部屋の中に顔を向けながら、信じられない様な、驚いた顔と得体の知れないものを見た様な、少し青ざめた顔をしていた。 何分そうしてただろう? Mも部屋に顔を向けたまま動かずにいたが、臭いに耐えきれなくなった俺が、Mの名前を叫ぶように呼んだ。 ハッとした様なMの顔を見た後、俺は、窓へ走り、思いっきり窓を全開にした。 徐々に臭いが薄れていった。 Mは、廊下にへたり込んでブツブツと何かを言ってた。(実際には、腰が抜けていた。) 俺は、Mに恐る恐る近付き、肩を揺すった。 すると、Mは、ガバッと顔を上げて興奮しながら「見えた‼見えた‼スゲー‼」とか叫んでた。 俺は、さっきの臭いが服に着いてないか、自分の着ていた服のにおいを嗅いだ。臭いは着いてなかった。 正気に戻ったMが、急いで、使ったものを片付けてから、まだ少し興奮していたが、聞いてもいないのに色々話して来た。 ソイツは、部屋の真ん中に宙に浮いていたらしい。俺からしたら、目の前にいた事になる。 何を言うでも、襲いかかるでもなく、ただ部屋の真ん中で立ってたらしい。 あの吐き気を催す臭いにも気付いていたが部屋の中にいるソレの方が気になっていたと。 散々、Mから面白おかしく話をされたが、昼過ぎに、眠いと言って俺は、家に帰る事にした。 Mは、まだ話足りなさそうな顔をしていたが、俺が嗅いだ臭いとMの話を聞いて、怖くて仕方なかった。 玄関を出る時、Mに最初に渡された紙切れを返そうとMに差し出すと、お前にやるよとにやついた顔をして笑っていた。 俺は、溜め息を吐きながら、ポケットへ紙切れを入れると、またなと言い自宅へ帰った。 休み明け、学校へ行くと、Mの姿は無かった。 たまにサボるから、昨日の出来事が原因だとは思わなかった。 それから、3日くらい経った時、どうもおかしいと気づき始めた。 Mの事だから、あんな事した後なら、みんなに自慢気に話をしに学校へ来てもいいはずなのに、Mは、一向に学校に来る気配が無かった。 担任にMの欠席の理由を聞いたら、風邪を引いたらしいと言われた。 俺は、嘘だと思った。 絶対になんかあったんだと思い、下校時、Mの家に行った。 呼び鈴を押すと、M母が出て呆れた口調でいつものサボりよと言ってから、上がってと言われ、玄関に入った。 困ったものよねぇ全くとブツブツ言いながら、キッチンに入って行った。 俺は、少し大きめな声で「お邪魔します。」と言うと、キッチンの方からM母の「はぁい、どうぞぉ」と言う声を聞いてから、2階のMの部屋に行った。 ………続きます。………

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