
私がよく乗る電車は緑の電車ばかり走る路線だった。車両基地を見てもこの路線は緑の電車しか走らないし、他の路線から違う色の電車が乗り入れてくることもない。
そんななか、こんな夢を見た。
ある日、駅で待っていると電車が来るのだが、なぜか青い電車なのだ。回送電車ではない。駅に着いたらドアが開いた。だが、なぜか乗ってはいけない気がして、その電車を見送った。
目を覚ますと、何やら外が騒がしい。外に出ると、いつもの電車が駅を出てすぐのところで、踏切で止まりきれなかった車と衝突し、電車も車も大破し死傷者が出たという。
事故が起きた電車もいつもの緑色だが、夢の中で青い電車を見た時刻と、実際に事故が起きた時刻はほぼ一致していた。
(この物語をより詳しく)
毎日のように利用するその路線は、車体のすべて、あるいは鮮やかなラインに「緑」をまとった電車しか走らない路線でした。車両基地を覗いてみても、並んでいるのは見慣れた緑の車両ばかり。他路線から系統の違うカラフルな電車が乗り入れてくることもなく、その街の人々にとって、駅にやってくる乗り物は「緑色」であるのが当たり前の日常でした。
そんな単調で平和な日常のなかで、私は妙にリアルで、奇妙な夢を見たのです。
◇
夢の中の私は、いつも通り薄暗いホームで電車の到着を待っていました。
やがて、トンネルの奥からヘッドライトの光が見え、ガタゴトと重々しい金属音を響かせて電車が滑り込んできます。しかし、ホームに引かれた白線の前で足を止めた私は、目を見開きました。
やってきたのは、見慣れた緑ではなく、深い「青色」をした電車だったのです。
電車の側面の電光掲示板には、見慣れた行き先がしっかりと表示されており、決して「回送」や「試運転」の文字はありません。プシューッという空気の抜ける音とともに、目の前のドアが静かに開きました。車内にはいつも乗っているような乗客たちの姿がまばらに見え、誰もその異変に気づいていないかのように、ただ座席に揺られています。
いつもなら迷わず足を踏み入れるはずでした。しかしその時、私の本能が激しい警鐘を鳴らしたのです。
「これに乗ってはいけない。乗ったら、二度と戻ってこられない」
根拠のない、けれど体の芯が冷たくなるような強烈な恐怖感に襲われ、私はすくんだまま、開いたドアを一歩もくぐることができませんでした。
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