
私が獣医師になりたいと思ったのは、幼少期に育てた犬の存在があったからだ。名前はルビー。ルビーは私の大親友で、いつも私を守ってくれた。だが、ある日、散歩の途中で不運にも車に轢かれてしまった。私をかばうように前に出て、痛みも知らずに吠えていたその姿は、今でも忘れられない。
その事故から数年後、私は獣医学部に入学した。全寮制のこの大学では、動物を身近に感じられる環境が整っていたため、私は心から嬉しかった。毎日犬たちと過ごしながら、理論や実技を学ぶ日々。中でも、私が特に可愛がったのは、2代目のルビーだった。彼女は元気で、私の努力を癒してくれた。
ところが、大学の試験日、教授が私たちに告げた言葉は衝撃的だった。「今日は、連れてきた犬の解剖を行います」。その瞬間、教室は騒然となり、悲鳴や泣き声が響き渡る。私の心の中で何かが切れた瞬間、記憶が消えた。
気がつくと、私は研究室の中にいて、手には血まみれのメスが握られていた。目の前には倒れている教授。その周囲には、私を抑えようとする同級生たちがいた。私は何をしたのか理解できなかったが、ただ一つ、ルビーの名前を叫んでいた。すると、その時、ルビーが後ろ足に車輪を付けて、笑顔で私を見ていた。私はその瞬間、心が満たされた。
だが、私の行動は止まらなかった。自分を責める気持ちが強くなり、メスを自分の喉元に向けようとした。しかし、2代目のルビーが私の足にしがみついて激しく吠えた。彼女の必死の訴えに心を打たれ、私はその手を引っ込めた。
一体、私は何を間違えてしまったのだろう。もう一度、あの頃に戻り、ルビーと共に過ごしたいと強く思った。今はその思いだけが、私の心を締め付ける。どこかで道を外れてしまったのか。私が選んだ道は、果たして正しかったのか。希望と絶望が交錯する冬の夜、私は自分自身に問いかけ続けていた。どこかで、ルビーが私を待っている気がしてならなかった。
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