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長編

井戸の中

匿名 3日前
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うと玄関扉に手をかけた──その時。 「——公平には、近付くなよ」  ———!?  中から漏れ聞こえてきた話し声に、扉からそっと手を離した俺は身を潜めた。 (……俺の事?)  何やら、俺の話しで揉めているらしい隆史と河原さん。俺はその会話に耳を傾けると、二人に気付かれぬよう息を殺した。 「……あいつはっ! 死んだ親父にソックリだよ!」  河原さんのすすり泣く声が聞こえた後、パタパタと走り去る音を残して静かになった扉の向こう側。  俺はゆっくりと扉を開くと、そこにいた隆史に向かって声を掛けた。 「……隆史。二人きりで話し、いいかな? 色々と聞かれちゃマズいこともあるだろうし、裏庭に行こうか」  突然現れた俺に驚いた顔を見せる隆史。  そんな隆史を見て、俺はゆっくりと口元に弧を描くとニヤリと微笑んだ。 ────── ──── 「明日には帰っちゃうなんて……。せっかく会えたのに、何だか寂しいね」  そう言って俯いた河原さんは、受け付けの横でピタリと足を止めた。 「……今度遊びにおいでよ」 「え……? っ、うん」  ほんのりと赤く頬を染めると、嬉しそうに微笑んだ河原さん。そんな姿を見て、やっぱりまだ好きだな、と改めて思う。 「……ねぇ、公平くん。隆史くん何処にいるか知らない? 一緒に帰る約束だったんだけど……見当たらなくて」 「さぁ……俺は告別式で見かけたきりだから、分からないなぁ」 「そっか……」 「俺が送るよ」 「っ、うん。ありがとう」  照れたようにして微笑む河原さんを横目に、歩き出そうと右足を一歩前へと踏み出した——その時。  俺の視線を遮るようにして何かが落下すると、そのまま足元にある地面の上でトサリと軽い音を響かせた。  地面に転がる、見覚えあるポーチ。   (これは……智の……? あの時……確かに、井戸の中へ捨てたはず……。空から、降ってき……、た……? っ、え……?)  俺は震える右手でポーチを拾い上げると、先程見た猫の死体と、昨日拾った靴のことを思い返した。  その全ての出来事を思い返しながら、ガタガタと小刻みに震え始めた俺の身体。 (じゃあ……。次に、降ってくるのは……っ)  俺は強張る身体をゆっくりと動かすと、絶望に満ちた瞳で空を見上げた。  頭上に広がるその空は、そんな俺を嘲笑《あざわら》うかのよう

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