
中編
怒るモノ ( 封印 )
えい 2018年1月9日
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私の中に封じ込めた 怒るモノを紫翠が持参した水晶に移す為 私の手に水晶を握らせようとしていたのですが 中々 握る事が出来なくて 何度も転がり落ちてしまい 最終的に 弘美が水晶を押えて 怒るモノを移す事になりました。
水晶へ怒るモノが移動し始めると 水晶が徐々に黒く変色していき 水晶が黒くなるに連れ 私の苦痛も薄れていきました。
だいぶ楽になって来た時 水晶がビシッと音を立てました。
弘美の手が震え始めました。
紫翠 「まずいっ… 」
怒るモノの力が強すぎて 水晶にヒビが入り その隙間から 水晶を押さえている 弘美の掌から入り込もうとしていました。
楽に成りつつあった私は 咄嗟に水晶に力を入れ強く握りしめると 弘美を突き飛ばし 紫翠の足元にあった 封じの御札をヒビが入った場所にあて 更にその上から手で押さえ付けました。
その後の記憶が余りありません。
ただ 後から聴いた話ですが。
私は 水晶を握りしめたまま フラフラと立ち上り 覚束ない足取りで あの場所に歩いて行き 水晶を地面に置いて 怒るモノを封じ 水晶も砕けたと聞き 私は 驚きました。
霊を移す事は出来ても 封じる事までは まだまだ未熟でしたので 記憶が無いところをみると 守護様が 私の体を動かし 封じたのだろうと思います。
憑き物を放した 彼女の顔も元に戻り 小さな寝息をたてて眠っていました。
ボーッとした感覚が薄れて戻った時に 紫翠が私に言いました。
紫翠 「お前 いつの間に覚えたんだ?」
私 「何を?」
紫翠 「……?記憶に無い?」
私 「?」
紫翠 「いやっいい。忘れてくれ。」
私 「何か怖いんだけど…」
紫翠 「ハハハ……」
弘美 「気持ち悪いよ 紫翠 」
紫翠 「……って!! お前もかよ?! 」
そんな会話をしていると 弘美の友達が他の二人を連れて 謝って来ました。
彼女の彼氏さんが特に 涙と鼻水と汗が入り交じった顔で 謝っていました。
紫翠 「まだ 終わっちゃいねぇよ。」
紫翠の言葉に 固まる三人。
紫翠 「お前らは 禁忌に触れたんだ。だから お前らにも 後から 障りが出るはずだ。」
不適な笑みを浮かべながら 紫翠は話を続ける。
紫翠 「まっ俺には お前らがどうなろうと関係ない…自業自得だしなっ…幾らか怖い目に遇えば分かるんじゃねぇの?なぁ?」
そう言って 彼氏の友人の肩に手を乗せて 顔を強張らせている その顔を覗き込み 嫌な笑みを浮かべる。
紫翠 「肝だめし…面白いか?何のための肝だめしだ?怖い思いがしたいのか?それとも暑いから涼を求めるか?だいたい暗闇にいれば 恐怖心から 幻覚をみたり 集団で行けば 怖い思いが集団催眠状態になり 現実と非現実の区別がつかなくなって 有りもしないモノを見たと 錯覚を起こし 霊を見たと騒ぎ立て 噂を聴いた者が次から次へと連鎖的に広がって行くのが普通だろうが 中には そんな生易しいもんじゃ済まない 本物があるって事を覚えておくんだな。」
弘美 「これに懲りたら 二度と浅はかな行動をしたらダメ‼ 」
私 「取り合えず 疲れただろうから 家に帰って休みなさい。直ぐにどうこうは無いだろうけど 早いうちに 彼女も連れて 本所を訪ねなさい。 二度と 遊び半分な事はしないように この事を覚えて起きなさい。」
こうして 怒るモノを封じ 後日 本所を訪ねて来た彼等もお祓いを済ませ 私達の話を聴いた 住職達の手により あの場所には 社を建て完全に封じ込め 祀る事で怒るモノを浄化させる事になりました。
ここまで読んでくれた方 ありがとうございました。 余り怖くなかったかな?と思いますが…
心霊スポット等に行かれる方へ
霊というモノをどの様な存在として見ているのか分かりませんが 静寂の中 私達が知らない空間と時の中で 休まれているモノ達を 面白おかしく出向き その場を荒らす事が無いように お願いします。
「 行くな 」とは言いません。
ただ 静かにしているモノを無理矢理起こさない様に気を付けて下さい。
中には 本当に危ない場所が存在していて それは 道を間違えば 直ぐ隣にあるのですから…。
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