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私達と一緒にいる③
長編

私達と一緒にいる③

匿名 2016年10月26日
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それから毎晩金縛りに苦しめられた。 体が強張って勝手にグニャグニャと動き、手首足首も変に強張ってグニャグニャしてしまう。 そして何よりも、体がジンジン痺れているように感じる。 上から大きな圧力が私の体を押して押してこれでもかと押していく。 そして同時に体がベッドからずり下ろされてしまう様な感覚にグニャグニャと動いていく。 出ない声を一生懸命に出そうとしてうなる私。 私の友人も毎日は私の部屋に泊まれない。 こんな毎日が続くもんだから、体の調子も良くなかった。 あまり食欲もなく、体重は5キロ落ちた。 毎日金縛りにあうとは言っても、睡魔には襲われるもので、だいたい5時間から6時間は眠れてた。 (1時近くになった頃に寝て、朝の6時に起きる。以前は10時頃には就寝できていた) でも体は疲れているのか、いつもだるい。 自分の部屋にいては何をするにも集中できないので、図書室で勉強したり、部屋に一人でいる事はなるべく避けた。 ある時、私のテストのスコアが一気に下がった。 今までここまで下がる事はなかったので先生に呼び出された。 最近グループ活動のレポートやプロジェクト制作を引き受けていた私。 先生はそんなものばかりやっているから勉強する時間がないのではないかと聞いてきた。 正直、勉強はしたくないのだ。 レポートとかプロジェクトなら頭を忙しくさせる事が出来るから、怖い事なんて考えなくて済む。 でも勉強なんかしたら、怖い事ばかりが頭の中に浮かんで集中できないどころか、部屋で寝る事なんて出来なくなるんじゃないかと、怖かった。 ぐったり疲れていて鏡を見る事をあまりしなくなった私。 一人では鏡を見ないようにと意識していた部分もあった。 もしもだか、もしも、鏡ごしにこの世のものではないものがうつり込むような事があれば、私は絶対に大学を辞めて家に帰ってしまうだろう。 毎晩の金縛りでさえボロボロなのに、もうこれ以上恐怖なんていらない・・ 今日は日本語のクラスの日。 テストだった。 でも私は欠席した。 時間になっても来ない私を心配したのか、あるいは答えがないのか、すぐにグループチャットが鳴った。 私はパソコンから出来るだけみんなに答えた。 『ごめんねみんな、ちょっと体調が悪いみたい。ちょっと休みます。』 やっぱり疲れていたので最後はそう送信した。 部屋の電気もつけずにベッドに座るだけの私。 時計の音だけが響いている部屋には、時折チャット音が鳴るだけ。 今度はスマホが鳴った。 ジョナ君からの電話だ。 出なかった。誰かと話す気分ではなかった。 しつこく鳴り止まなかったが、それでもほっといた。 3回ぐらい電話は来ただろうか、まだ鳴っているというのに、ジョナ君が合鍵で私の部屋を開けて入って来た。 真っ暗な部屋にパソコンの画面の光だけが照らされている部屋に、うるさく鳴るスマホをよそに、ぽつりとベッドに座っている私を見て、ジョナ君は何も言えなかったのだろう、玄関のドアを閉められずにいた。 私「・・なに・・?」 ジョナ君「・・どうして電話でないの・・」 私「・・うん。ごめん。」 私は普段大学では長袖にジーパンを着ていくので、肌をさらけ出す事はないが、部屋着(パジャマ)はノンスリーブにショーツ。 薄暗い部屋の中にいる私の肌を目を細めながら眺めるジョナ君。 ジョナ君「電気つけるね」 そう言って部屋の電気をつけると玄関のドアを閉めた。 ジョナ君は私の隣に、ベッドの上にゆっくり腰を下ろした。 ジョナ君「このアザ、どうしたの?」 言われて自分の肌を眺める。 右腕と左腕に茶色いアザが無数。両足にもあった。 私は鏡の前に立って服を脱いで見た。 胸にもお腹にもアザはあった。 ここ最近自分の体を鏡でまじまじと見た事がなかったので、前より痩せた自分の姿を見て少しびっくりした。 アザもここまで酷くなっているとは思わなかった。 なんでこんなになるまでアザに気がつかなかったんだろう・・ ジョナ君が後ろから抱きついてきた。 ジョナ君「・・どうしちゃったんだよ。なんで何も相談してくれなかったんだよ。病院行こう。私ちゃんのお母さんに電話しといてあげるから。今すぐ支度しろ。」 私「・・・違うよ。私病気じゃない・・言ったじゃん前・・。」 ジョナ君はイライラしたように言い返してきた。 ジョナ君「おばけなんていないんだよ。見ろよ。こんなに痩せて、身体中にアザだらけなんて・・。」 私「病気じゃないよ私。」 ジョナ君「それは病院に行けばわかる事。 今すぐ行こう。」 ジョナ君の強気な姿勢に私は何も言う事が出来なかった。 確かに、もし何かの病気だったらどうしよう。 痩せちゃったし、食欲もないし、毎晩金縛りもおかしいよね・・。 私はジーパンに、大きめのパーカーを着て、カバンを持って部屋を出た。 病院で検査するも、何もおかしなところはなかった。 ジョナ君は必死で医者に、体のアザは何かあるはずだ、他の病院を紹介してほしいなど、色々と話をしてくれていた。 私はと言うと・・自分の事なのに、関心がなく、だるくだるくて仕方がなかった。 ジョナ君は他の病院に行こうと行って、車を走らせた。 そこでも結果は一緒だった。 私たちはお昼にレストランに寄った。 朝から何も食べていない私。 ジョナ君は心配してくれて、いつものカフェではなく、少しいいレストランに連れて来てくれた。 おしゃれな人が多い中、私は髪の毛を一つに結わいていて、ジーパン、大きなトレーナーにバックパック。 やつれた顔がいかにも病人というオーラをその場に撒き散らしてしまっていた。 私「恥ずかしいよジョナ君。私こんな格好で・・」 ジョナ君「関係ない。ちゃんと食べて。」 ジョナ君は私に何が食べたいかなど聞かずに、ステーキとサラダを2人前注文した。 おまけにライス付き。 ジョナ君「ちゃんと米も食わないと返さないからね」 ・・・え・・・・ 食欲は全くない。 料理が届いて1時間、ジョナ君はもう食べ終えていたが、私はサラダとステーキ半分でお腹いっぱいになってしまった。 ジョナ君「それだけ?もっと食べなよ。」 私「もうお腹いっぱい。この肉厚いよ。」 ジョナ君「それが良いんじゃん。もったいないから。ね。」 私は言われるままに肉を口に運び、ずっともぐもぐしていた。 スマホが鳴った。 母からだった。 私「ちょっと電話出てくるね。」 トイレの方に行って電話に出た。 母「もしもし?ちょっと大丈夫なの?ジョナ君から話聞いたよ。 てか留守電からだったけど。 どうしたの?」 私「大丈夫。ちょっとジョナ君がオーバーなだけだよ。全然大丈夫だから。」 母「なんか、体がアザだらけなんだって?凄い痩せたって言ってるよ! お母さんそっちに顔出せないから、今おばあちゃんそっちに向かってるから。しっかりね!」 え・・おばあちゃん・・ 無言でいると、母のため息が聞こえたように思えた。 そして電話は切れた。 テーブルに戻ってさっさとお肉をたいらげた。 ジョナ君「お。食欲出てきた?」 私「うん。」 母のため息が悲しく聞こえたからだと思う。 申し訳ないという気持ちから目の前にあるものをありがたく頂いた。 食事を終え、車を走らせていると、またスマホが鳴った。 おばあちゃんからだ。 私「もしもし」 おばぁ「もしもし?あと10分くらいでそこにつくからね。」 私「はい。」 ジョナ君は私のアパートの前に車を停めた。 おばぁちゃんと私のいとこはもうすでにアパートについていた。 車から降りるとおばあちゃんはすぐに私の顔を両手で挟んでこう言った。 おばぁ「あんた細いよ!」 私はおばあちゃんに全て起こっている事を話した。 おばぁ「あんた、それ危ないよ。悪魔かもしれないよ!学校なんて辞めちゃえばいい。そんな事よりあんたの身が大事だよ。悪魔に取り憑かれたら一生戻ってこれないよ!」 霊の仕業だとは思っていたが、さすがに悪魔は信じていない。 おばぁ「外から襲ってくるんだ。油断したらいけないよ。中に入られたらそこでおしまい。今度は中身からあんたを食べてくんだ。生気を失ったような顔をしてないで、しっかりとしなさい! 強気でいないと!」 ジョナ君「おばあちゃん、僕がずっと一緒にいるので、大丈夫です。また何かあったら連絡します。」 おばあちゃんは少し考えると、分かったと言って車に乗っていとこ達と帰っていった。 珍しい。おばあちゃんは気が強くて自分が言った事は絶対だ!という人だったのに、簡単に引き帰って行った。 珍しすぎて余計に心配した。 私「おばあちゃんが勝手に私を退学させたらどうしよう。」 ジョナ君「いくらなんでもそれはないだろう。」 私「・・」 ジョナ君「どうする?学校行く?良かったら一緒にいるよ。」 私「授業は?」 ジョナ君「・・もう終わってるからw」 そうだよね・・ 私「ジョナ君ごめんね、迷惑かけて。色々な人に迷惑をかけたと思う。もうちょっとしっかりするから。」 そういうとジョナ君は笑顔を見せてくれた。 私達はジョナ君の寮にこっそり忍び込み、ジョナ君の部屋でオンラインゲームをして遊んだ。 ブラウン君もいて、久しぶりに楽しい午後を過ごせたと思う。 夜はジョナ君が私の部屋に泊まりに来た。 部屋に戻ってパソコンを開けると、グループチャットにみんなからメッセージが届いていた。 私のおばあちゃんがアパートに来ていた事、ジョナ君と一緒に車でどこかに行ってしまった事はみんな知っていた。 ジョナ君が連絡をしていてくれてたみたいだ。 ありがたかった。 シャワーも浴びて、ジョナ君とベッドに横になった。 電気を消そうとしたが、電気は消さないようにお願いした。 ジョナ君も承知してくれて、私達はそのまま眠りについた。 午前3時。 目が覚めた私。 トイレに干してある私の下着がくるくると回っているのが目に入った。 風もないのに・・ 不思議に思ったがどうしても眠かったので私は目を閉じた。 バキーン! 甲高い大きな音が部屋に響いた。 びっくりして顔を上げた。 なに!? キッチンに何かあるかもしれないと思って、ベッドから降りてキッチンの様子を見に行った。 何か割れた音?落ちた音だと思ったんだけどな・・ ふと、トイレの方に視線を感じて、振り返った。 私の下着がまだくるくると回っていた。 不気味で仕方がなかった。 風もないのに一定の速度でくるくると回っている下着。 私は足早にベッドに戻った。 眠気など吹っ飛んでいた。 ジョナ君の腕を掴んで横になった。 私は恐怖から部屋の隅々まで何かを確認するようにじっと見渡した。 すると、タンスの上に置いてある小さな扇風機がズッと手間に動いた。 びっくりして音がするくらい息を吸った。 怖い。怖い。怖い。 ジョナ君をそこで起こせばよかったのだが、扇風機をじっとガン見していた。 扇風機はまた手間に動いた。 黙って見る私。 次の瞬間、一気に扇風機がタンスから倒れ、床に落ちた。 私「ジョッ!」 その時だった。 ジョナ君の名前を叫んで起こした体はまた何かの圧力によってベッドに押しつぶされた。 勝手に体がベッドの上でグニョグニョと動く。 体が圧力に押されてベッドに押しつぶされていく。 声が出ない。 私は恐怖から涙を流していた。 心の中でまた祈りを唱えると、またギュウっと体が締めつられるような感覚になった。 痺れが、圧力が体を支配する感じ。 声にならない叫び声をずっと上げていた。 『お父さん!!!!!』 なぜかわからないがそう思いっきり心で叫ぶと縛りが解けたみたいに一気に自由になった。 (私の父はすでに亡くなっています) 私は子供みたいに大きな声をあげて泣いた。 ジョナ君「どうしたの!?!!!」 ジョナ君はすぐに目を覚めして私を抱きかかえた。 私「もう嫌だ!もう無理!死にたいよおおぉ!!」 私はずっと泣いていた。 ジョナ君は落ちて壊れた扇風機に気づいた。 ジョナ君「扇風機は落ちただけだから。ね。大丈夫だから。」 私「違うの・・!誰かが私の体押しつぶすの・・!怖いの・・!ジョナ君信じてよ!私、何も話なんて作ってない!病気でもない!お願い信じて・・!」 悔しい思いと恐怖が全て私の言葉になって出ていった。 ジョナ君「わ、分かった。分かったから・・。ごめんな・・。」 ジョナ君は私の体をさすってくれた。 私はその日、眠れる気分では無かったので朝になるまで外のベンチに座っていた。 ジョナ君も私に付き合ってくれて、眠いはずなのにずっと話をしてくれていた。 朝、ジョナ君は授業に出たが私はジョナ君の部屋で1人で寝ていた。 朝には誰も部屋に入ってこないので、安心して眠れた。 *④へ続く*

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