
長編
仮母女(かもめ)
匿名 18分前
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でいる。
眉は剃っているのか、薄いのか、とにかく眉がない。目は般若のようにカッと見開き、まばたき一つせずジッとこちらを睨んでいる。
そしてその目は…真っ赤だ。
眼球全体が真っ赤な血の色に染まっている。
そして黒目部分は…白く透明に濁ったような色をしていた。
以前、白内障の人をテレビで見たが、そんな感じの目だ。(その人は眼球全体が白濁していたが)
だがこいつは、白濁した水晶体の周りを、真っ赤な血溜まりが覆い、この世のものとは思えないほど邪悪な醜悪な目をしていた。
「…ひっ!」
俺は声にならない声を漏らした。
目を閉じたかったが、なぜか今まで動かせていた目までも自由を奪われてしまった。
(ヤバいヤバいヤバいヤバい!!)
永遠とも思える時間、そいつは俺のことを真っ赤な目で睨み続けていた。
(怖い怖い怖い!!洋子起きてくれ!)
すると、女は急に嬉しそうにニターッと顔を歪ませて笑った。
真っ白な手が押入れの襖にかかる。
ゆっくりと襖が開いていく。
―カタカタカタ…
静寂に響くその音が、これは現実に起きていることなんだと、妙にリアリティーを与える。
襖が半分ほど開いたところで、女が押入れから降りてきた。
ゆっくりとこちらに近づいてくる。
(怖い怖い怖い!!来るな来るな来るな!!))
俺の頭の中の叫びが聞こえているかのごとく、女は楽しそうにニターッと笑う。
今度は口を大きく開けて笑っている。
女の口には歯が生えていなかった。
女はまだ若かったが、その歯のない口だけが、老婆のような印象を与え、ことさら不気味である。
真っ白な顔に、真っ暗な穴のように空いた口。
そして真っ赤な眼球に白濁した瞳。
見ているだけで涙が出るくらい恐ろしかった。
―シュッシュッ
衣擦れの音とともにゆっくりと女は近づいてくる。
真っ白な手を前方にフラフラ漂わせ、暗闇をまさぐるようにしてやってくる。
とうとう手が届くほどの距離に近づいてきた。
(やられる!)
恐怖と絶望で、俺の毛穴という毛穴が開き、そこから汗が吹き出る。
…しかし、女の目的は俺ではなかった。
女と俺の間に横たわっている洋子。
俺の可愛い彼女。
その洋子の枕元に屈み込んだそいつは、真っ赤な目を見開き洋子の顔をジーッと覗き込んでいる。
そしておもむろに、そいつは洋子のまぶたの上に人差し指を乗せた。
閉じられたまぶたの下にこんもり盛り上がる洋子の眼球を、そいつは人差し指の先でぐぐぐっと押している。
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- 面白かった!菊島梨瑚
- いや旅館は責任ないでしょ。サングラス
- 3人で事をなすのところで不覚にもそぷ
- 旅館に責任があるわこれ、警察に言っていいレベルだよ。いかん
- 洋子さんどこ?まりりん
- おもろないなガスライティング
- けっこうおもしろかった。りょーた
- 自業自得としか言いようがないな鴉
- 前もこの話見たことあるけど前見た時はもっと長かったような?あー
- なかなか怖かったですが。。。 水晶はそんなに高くありません。vicky