
長編
仮母女(かもめ)
匿名 18分前
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縄とお札をほどいてしまったみたいで…。
ご家族の方ともどもいなくなってしまったんです!
お坊様がすぐに洋子さんのご自宅に向かわれるそうですが、くれぐれも3日間ご用心なさいませね。
絶対に外には出ないように、それとなるべくなら声も出さないようにして下さい。
アレは耳が異常にききますから…。」
俺は携帯を耳に当てたまま、サーッと血の気がひいて、その場に倒れそうになった。
昨夜のアレの恐ろしい顔が…見開かれた真っ赤な目が…その中の白濁して焦点の定まらない瞳が…ニターッとしたいやらしい笑いが…歯のない空洞のような口が…脳裏によみがえった。
俺は駅から全速力で自宅に戻り、部屋に閉じこもった。
家族が心配して声をかけてくるが、何も答えられない。
なるべく声も出したくない。
ご飯なんか喉を通る訳がない。
ただ頭の中とのどがカラカラに乾いている。
たった3日間だが、無事に過ごせる保証はどこにもない。
部屋のクローゼットの隙間からアレが出てくるかもしれない。
アレに憑かれたらどうなるんだろう?
俺も洋子みたいになるのか?
眼球が真っ赤になり、視力を奪われるのか?
気が狂ってしまうのだろうか?
いや、もう既に俺は狂ってきているのだろうか?
洋子は家族と一緒にいるのだろうか?
家族がまた寺に連れ戻してはいないだろうか?
洋子は俺のところに来るだろうか?
洋子の母親の声がよみがえる。
「なんで、あなたは平気で…!
洋子だけこんな目に…!」
もしも俺が3日のうちに洋子に…いや洋子の姿をした仮母女に見つかり、最悪とり殺されるようなことがあったら…。
どうか俺の家族は洋子を恨まないでほしい。
悪いのは、全部俺なんだから。
無理矢理洋子を旅行に連れだして、旅館の禁忌を犯してしまった俺の自業自得なのだから。
俺がこの手記を残すのは、真実を明らかにしておくためと、俺の家族に洋子を恨まないでもらうためでもある。
もし俺が3日の内に死んでしまったら、この手記を遺言代わりにしてもらいたい。
父ちゃん、母ちゃん、今までありがとう。
良二(弟)、小さい頃いじめてばっかでゴメンな。
俺のゲームとマンガ全部お前にやるよ。
……。
その後、良一さんの手記は家族に対する感謝や、友人たちへのメッセージで埋められていたそうです。
この手記を私の友人(良二)が見つけたのは、つい最近のことだそうです。
そして良一さんは、今…県内の精神病院に入院しています。
文中は
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- 面白かった!菊島梨瑚
- いや旅館は責任ないでしょ。サングラス
- 3人で事をなすのところで不覚にもそぷ
- 旅館に責任があるわこれ、警察に言っていいレベルだよ。いかん
- 洋子さんどこ?まりりん
- おもろないなガスライティング
- けっこうおもしろかった。りょーた
- 自業自得としか言いようがないな鴉
- 前もこの話見たことあるけど前見た時はもっと長かったような?あー
- なかなか怖かったですが。。。 水晶はそんなに高くありません。vicky