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仮母女(かもめ)
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仮母女(かもめ)

匿名
2013年2月4日
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今日は洋子(彼女)と初めての1泊旅行。

と行っても、家から電車で2時間ほどの、県内北部にある温泉旅館だが。

それでも俺は、家が厳しく外泊自体が禁止だった洋子が、「女友達と行く」と親に嘘をついて、やっと実現したこの旅行に、かなりテンション上がりまくりの、頭の中はお花畑であった。

適当に写真を撮ったり、名物の菓子を食べ歩きながら、旅館には15時頃着いた。

2階建てで、小さく古いながらも、一応露天風呂のある旅館だ。

最初の事態はチェックインのときに起こった。

「いらっしゃいませー。

ご予約のお名前は?

えー…。○○洋子様ですね。

……え?!」

旅館の女将さんは、かなり驚いて困惑した様子でこちらを見ている。

「あのー。何か…?」

俺が尋ねると、非常に焦って困った調子で、

「お客様、失礼ですが、確か女性2名様でご予約を承ったはずですけれども…。」

そう言えば洋子の親が、もし旅館に問い合わせたときに(やりかねない親なのだ)嘘がバレないよう、洋子が友達の名前を使って、女2名で予約していたのだった。

「あのー、急にその子が来れなくなって…代わりの者なんですが、良いですか?」

洋子が不安そうに尋ねる。

「申し訳ありません、お客様。

ご用意させて頂いたお部屋は女性専用のお部屋で…男性のお客様はお泊めできないんですよ。

かと言って他の空き部屋もございませんし…。」

女将が、先程よりやや毅然とした態度でそう答えた。

「そんな…。」

温泉旅館に女性専用部屋なんてものが存在することすら初めて知ったし、ウキウキ気分を害されて、俺は少し怒った調子で抗議した。

「申し訳ありません。

もともと当方が説明不足でしたので…キャンセル料はいりませんから、他のお宿を当たっていただけませんか?」

「そんな…。他の旅館は電話してもどこもいっぱいだったんです。

やっとこちらで予約がとれたので、とても楽しみにしていたのに…。」

洋子が泣きそうな声で抗議する。

俺もそれに加わる。

「お願いします。

妹は本当にこの日を楽しみにしていて、友達が急に都合悪くなって落ち込んでいたので、兄の僕が一緒に来てしまったんです。」

俺は、何となく「彼氏」と言うよりは印象が良いかと思って、口からでまかせで頼み込んだ。

「あ…。ご兄妹でいらっしゃいましたか?

…失礼ですが何か証明できるものございますか?」

女将の態度がふとゆるんだ。

(おっ? 兄妹ならOKなのか?)

俺はこの作戦を通すべく、なおも食い下がった。

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