
長編
噂のホテルにて
ひろ 3日前
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ホテルは防音が当然なので、よほどの安宿でない限り、隣室の声が聞こえることはまずありません。おまけにこのホテルはコテージタイプで、各部屋が独立しているのでなおさらです。
もちろん、彼女も気づきました。
「・・・いま、何か聞こえた?」
彼女がそう言って目を開ける直前、私はテレビの電源を咄嗟に入れていました。
画面いっぱいに卑猥な映像が映し出され、卑猥な声が響きました。
「ああ、ごめんごめん、ちょっと眠くなるまでテレビつけようと思って」
「・・・・・音消してよ寝れないから」
「そうね、はい」
・・・・・セーフでしたが、気持ち的にはアウトです。
なんださっきの声は。怖いじゃないか。
私は気が気でありませんでした。
またあの声が聞こえたら、今度こそ言い訳できません。
しかし幸いにも、その後妙な声が聞こえることはなく、無事、彼女は眠ってくれました。
ここで私はひとまず安心しました。
少なくとも朝までは彼女にばれる心配がなくなりました。
私も寝ようと、テレビを消して横になりました。
しかし、当然そう簡単には寝られません。
さっきの人影や、謎の声、ノートに書かれた気持ちの悪い絵のことが頭のなかをぐるぐる回ります。
するとどうでしょう。
今度は突然テレビがつくのです。勝手に。そして音量がどんどん上がっていくのです。勝手に。
やめてくれ!!!
私は慌ててスイッチを切りました。
これはもう完全に普通ではありません。
テレビは天井からぶら下がっていたので、コードを抜くにもどうしたらよいか分からず断念。そもそも部屋の照明もいつまた勝手につくか分からない。。
私は徹夜を覚悟しました。
翌朝。
結局ゆうべはあの後も照明が一度勝手につきましたが、それ以外は何も起きずに朝を迎えました。
私は途中うとうとしましたが、ほとんど一睡もせずにいました。
彼女には結局何も気づかれずに済み、私は大役を果たした気持ちでいっぱいでした。
その後数か月経って、彼女にホテルであった出来事を全て打ち明けたのですが、信じてもらえませんでした。彼女とはその後別れてしまいました。
あのホテルは、未だにずっと残っています。周囲のホテルは次々と閉店したり別のホテルになったりしているのに、なぜ閉店しないのか不思議なぐらい、あのホテルだけはずっと残っているのです。。。あの出来事から
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- 怖すぎるなパクリ
- 556さん優しい… 声がした時はヒヤヒヤした…怖い(ノдヽ)バターオイル
- 彼女さんを恐がらせないために色々と気を使った556さんに、笑いが止まりませんでした。怖かったけど、面白かったです!^ - ^天然水