
ピンポーン!
「宅配便でーす。サインをお願いしまーす!」
玄関から聞こえる配達員の声で、僕は目を覚ました。
時計を見ると…12時半。冬の昼間、厚い雲に覆われた空が広がる。
布団から這い出た僕は、散乱したゴミを避けながら玄関へと向かう。
「お疲れさまです。こちらにサインをお願いします。」
「ああ、はい。」
僕は重い手を動かして、配達員が差し出すタブレットにサインをした。
「ありがとうございました!」
配達員は玄関から去り、僕はその場に残された小包を開ける。
…中には、奇妙な書類が入っていた。
『⚪︎⚪︎様。貴殿は新しく制定された【社会適合者管理法】の対象に認定されました。おめでとうございます。』
【社会適合者管理法】?
確かに僕の名前は⚪︎⚪︎だけれども…。
そういえば、最近そんな法律ができたとニュースで見たような気がする。
まあ、関係ないか。
書類を読み終えないまま、僕はそれを丸めてゴミ箱にポイと捨てた。
…
次の日、会社で。
同僚の佐藤が僕に声をかけてくる。
「ねえ、⚪︎⚪︎君。昨日の会議資料、提出した?」
「あ、やばい。また忘れてた。」
「もう! それじゃダメだよ!」
「すぐ出すから、大丈夫。」
「⚪︎⚪︎君が遅れるの、これで何回目だと思ってる?」
…? 何でそんなこと知ってるんだ?
「…どうして回数まで?」
「だって、上司の田中さんが言ってたから。」
…あのクソ上司が。
僕は小さくため息をつき、苦虫を潰したような顔をした。
…会社からの帰り道、僕は気晴らしに飲みに出た。
馴染みの居酒屋で熱燗を一口。
「お会計お願い!」
「はい、3500円になります。」
「はい、どうぞ。」
「⚪︎⚪︎さん、また来てくれたね。」
「そうだね、あんまり飲み過ぎないようにしてるよ。」
「でも、先週もここで4000円ほど飲んでたよ?」
「…は?」
「一週間前も、別の店で3500円飲んでたでしょ。気をつけないと。」
…何を言ってる、なんでそんなことが分かるんだ?
「うるせえ! もう来ない!」
僕は捨て台詞を吐いて、店を飛び出した。
…気分が悪い。
…数日後。
かつての同僚から電話がかかってきた。
『⚪︎⚪︎、君は今の職場で浮いてるらしいね。新しい仕事を紹介しようか?』
「は?」
『また明日、連絡するから。よろしくな。』
電話が切れる。
次の日、彼からまた電話が。
『新しい職場に君の名前を伝えておいたから、早く辞めた方がいいよ。』
「いや、そんな簡単には…」
『何を言ってるんだ。もう辞めないのか?』
「話が急すぎるんだよ…」
後日談:
後日談はまだありません。
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(0件)
コメントはまだありません。


