
長編
閉鎖された病室
スモーキー 3日前
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ちりカーテンは閉められているのですが、何かが違います。
誰もいないはずなのに、カーテンの向こうにまるで人がベッドでうずくまっているようなシルエットが見えます。
背中を丸めて、右左にゆらゆら揺れています。
「……!?」
冷汗が一気に出て、体は小刻みに震え始めました。
まるで金縛りにあったかのように足は地面から離れず、視線だけはベッドの上でうごめく物体を凝視している、そんな状況でした。
(…おかしい!!さっきまで何もなかったし、、倉庫のはずなのに…!!)
頭がパニックになりながらも、なぜか「それ」に気付かれないよう声を押し殺していたとき
「それ」が左右から上下に揺れを変え、音こそしないものの、まるで苦しそうにせき込んでいるかのような動きになりました。
(苦しいのか……?)
病院で働くものとして、困っている人には手を貸さずにはいられない性分ですから、
一瞬、かわいそうにと思った瞬間……
「 ヒッ……!ヒヒッ……!フッ!… 」
耳にダイレクトにその声が聞こえました。
いや、本当に私の耳元で息を吹きかけながらささやいているかのような、頭の中にその音が入ってきたような感覚でした。
「それ」はせき込んでいたのではなく、笑っていたのです。体を小刻みに震わせながら……
おかしくてたまらないとでもいうように………
「………ギャーーー!!!!!」
とっさにくわえていたハンカチを落とし、拾う間もなく廊下に飛び出しました。
汗が体中から噴き出て、足はがくがくして思うように歩けません。
扉をあけっぱなしか、閉めたかどちらかわかりません。
それでも何とかこの異様な部屋から遠ざかろうと、すぐに廊下を駆け抜けました。
しかし廊下が明るく、また、階段を上がる人たちの声がしてきたので何とか気持ちが落ち着いてき、部屋に戻るころは動悸はするものの、
正常心を少し取り戻していました。
部屋に入ると、部屋を出る前と同じように先輩が仕事をしています。
何も変わらない風景がそこにはありました。
先輩に私があまりにも汗だくなので、あの部屋クーラーとか無いから暑かったよね~
と謝られましたが、椅子に座ると放心状態になった私には何も返す言葉がありませんでした。
先程の出来事は何だったのか…。
まさかあの部屋に誰かいたのか…?
色々な思考が飛び交うものの、もう忘れ去りたい一心であれは気のせいだった、見間
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- 描写がリアルだし怖い。まさしく「本当にあった (実際に経験した)怖い話」って感じがしますね。匿名
- 悪い幽霊さんではないのかな?とめいとぅ