
新着 中編
「俺」様
薬肉煮つくね 1日前
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怪奇現象とはちょっと違うんだけど、オカルトめいた状況なのでここに書かせてほしい。
俺の実家は東北なんだけど、今は就職の関係で東京のアパートに一人暮らししてる。
そのアパートってのが正直ハズレ物件で、毎朝ひどい大声が聞こえるんだ。
外国語の、競りみたいに慌ただしい大人数の声。
実はこのアパート向かい側に日本語学校があってさ、そこに通う人たちが母国語で雑談してるんだよね。
で、国によってはめちゃくちゃ声のでかい人いるじゃん。
とにかくこれがうるさいったらありゃしない。
俺の職場は朝が遅いのもあって睡眠不足。
だけど今朝だけは何かが違ってた。
今朝の俺は、いつもどおり騒音で目を覚ました。
誰かが、しかも大人数がけたたましく叫ぶ声だ。
しかし何か様子がおかしい。
「○%#@/?〜」
それは聞きなじみがないけれど、日本語のようだった。
古語に似ていたと思う。
声は異様な熱気に包まれていて、外国人の雑談とは違う。
まるでいかめしく唸るような……
とにかくそんな感じで。
なんだか嫌な予感がした。
霊感のない俺にも分かる、これは何かの前触れだ。
今すぐ逃げ出したい!
そんな気持ちで玄関を開いた。
そこにいたのは神主だった。
彼は一心不乱に何かを叫びながら、しゃらしゃらとお祓い棒を振り回している。
俺は恐怖のあまり叫んでしまった。
そんなのが、部屋の前に何十人もいたからだ。
彼らは命乞いに似た様子で、
「鎮まりたまえ!」
「鎮まりたまえ!」
「鎮まりたまえ!」
と叫んでいた。
さっきまで聞こえていたのは、どうやらこの祝詞のようだった。
俺の中の悪い予感がどんどん膨らんでいく。
やっぱりこの部屋は呪われているんだ……
神主らは俺に気がつくと、一斉に顔をあげた。
恐怖の正体、そのものを見たような顔で。
「お帰りください!
お帰りください!
お帰りください!」
神主らは「俺」を掴むと、強引に部屋の中に押し込めた。
必死に抵抗した俺だったが、この人数には敵わない。
「お帰りください!
お帰りください!
お帰りください!」
神主の中には恐れのあまり、号泣する者もいた。
「お帰りください!どうか!○○様……」
そこでようやく気がついた。
彼らが恐れているのは呪いなどではない。
「俺」なのだ。
それから今に至るまで、外に出られないでいる。
外に出ると神主たちに力づくで押し戻されてしまうからだ。
警察も呼
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