
これは、友人たちと肝試しに行った廃墟の病院での出来事だ。あの日、何か不気味な遊びを思いついた。気軽な気持ちで始めたが、背筋が凍るような体験をすることになるとは思わなかった。
その遊びは、「お人形さま」と呼ばれるものだった。三人以上の奇数で集まり、ひとつの古びた人形を囲んで呪文を唱える。呪文はこうだ。「お人形さま、お人形さま、私の声が聞こえますか?私の願いをどうか叶えてください。お人形さま、お人形さま……」と続け、最後には自分の名前を繰り返す。
すると、人形から赤と黒の液体が流れ出る。この液体は、参加者の性別によってそれぞれに反応し、男は赤い液体を見つめ、女は黒い液体を跨ぐことになった。
その後、再び呪文を唱えると、私たちの過去の記憶が映し出されるという。まるで前世の思い出が蘇るような感覚だった。だが、ここからが本当の恐怖の始まりだ。
実はこの「お人形さま」とは、地元の伝説に登場する魔物の名前で、その姿は人形のように見えるが、実際には人間の魂を狙っているという。彼らは、食べた魂の記憶を吸収し、新たな擬似的な魂を作り出すことができるのだ。
私たちが唱えた呪文は、彼らを呼び寄せるための儀式だったのかもしれない。私たちの周りに異常な雰囲気が漂い始め、友人たちの表情が変わる。恐怖からか、誰もが冷静さを失い、混乱が広がっていった。
そして、儀式の終わりに近づくと、心の奥底にある恐怖が現実化してしまった。擬似的な魂が暴れ始め、次々と仲間が倒れていく。私もその場から逃げ出そうとしたが、何かに引き寄せられるように、病院の奥へと進んでしまった。
そこには、真っ黒な液体が溜まった祭壇があり、その上には無数の人形が並べられていた。彼らは、私たちが唱えた呪文の犠牲者たちの象徴だったのだろう。私が逃げようとした瞬間、何かが私の背後に迫ってくるのを感じた。
今でも思い出す。あの恐怖の瞬間と、彼らが私の記憶を奪おうとしたことを。あれから数年経つが、あの遊びは二度と口にしたくない。もしも、あの病院の近くに行くことがあれば、気をつけた方がいい。あの「お人形さま」がまた呼び寄せられるかもしれないから。
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