
それは私が高校生だった冬の夜の出来事だ。
私の住む街には、いつからか忘れ去られた廃校が存在する。近づく者は少なく、特に冬の夜はその佇まいが一層不気味だ。友人たちと肝試しをしようと決めた私たちは、深夜の校舎に足を運んだ。
その夜、私たちは4人で集まり、少し怖い話をしながら校舎の前に立っていた。朽ち果てた建物は草に覆われ、まるで誰かを待ち続けているように見えた。気を引き締め、恐怖心を乗り越えて中に入ることにした。
校舎の中は静まり返っていて、冷たい風が吹き抜ける。廊下を進むうちに、ある友人が急に言った。「ちょっと、トイレ行ってくるわ」と言って、校舎の奥へ向かった。
待つこと10分。彼が戻ってこない。私たちは不安になり、「もう行こうよ」と声をかけると、やっと戻ってきた彼は青ざめた顔をしていた。「お前ら、何も聞こえなかった?」
彼の言葉に耳を傾けると、他の友人たちも不安を感じ始めた。彼はトイレの中で、誰かが自分の名前を呼ぶ声を聞いたと言う。しかし、私たちはその声が届かなかった。不安に駆られつつも、校舎を進むことにする。
次第に恐怖が増し、私たちは校舎の中をうろつくうちに、ある教室の前で立ち止まった。ドアがわずかに開いており、薄暗い中から誰かの視線を感じた。ドキリとする私たち。意を決してドアを開けると、教室の中は空っぽだったが、黒板には「帰れ」と一言だけ書かれていた。
私たちは恐怖に駆られ、急いで校舎を出た。後ろから聞こえるかすかな声。それは、名前を呼ぶ声だったのかもしれない。
あの時の声が何だったのか、今でもわからないが、あの廃校には何かがいるのかもしれない。私の心に残る、忘れられない恐怖の思い出だ。今でもあの校舎の前を通ると、背筋が凍るような感覚に襲われる。友人たちも、あの夜の出来事を忘れられないと言っている。何もかもが奇妙な体験だった。私たちはもう二度とあの廃校には近づかないだろう。
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