
数日前、私は冬の研修のため、山間の小さな研修所に到着した。新入社員として集まった仲間たちと共に、期待に胸を膨らませながら、古びた宿舎に入った。周囲は雪に覆われ、静寂に包まれている。宿舎は築年数が経っているため、外観は暗く、不気味な印象を与える。
宿舎に入ると、先輩社員の一人が近づいてきた。「お前たち、301号室の話は聞いたか?」と淡々と聞いてきた。彼の目は真剣で、私たちは一瞬緊張した。
「昔、ここで研修を受けていた新入社員が自ら命を絶ったらしいんだ。その部屋に入った者は、必ず不幸に見舞われるって噂がある。だから、あの部屋には近づかない方がいい。」
その言葉を聞いた新入社員たちは驚き、恐怖が広がった。しかし、301号室に割り当てられたのは、明るくて好奇心旺盛な佐藤君だった。彼は「そんなの信じられない!面白いじゃん!」と、まるで興味津々に部屋に向かっていった。
研修が始まって数日後、私たちはそれぞれの担当業務に分かれた。その時、私はその話をすっかり忘れていたが、ある夜、宿舎の無線機が突然鳴り響いた。慌てて受信機を手に取ると、誰もいないはずの301号室からの声が聞こえてきた。
「助けて…」
声は弱々しく、恐怖に満ちていた。私は思わず耳を澄ませたが、声はそこまでだった。翌日、佐藤君が無気力な表情で現れた。彼は「昨晩、夢で誰かに呼ばれた」と言った。
数日後、宿舎で事故が起きた。作業中の先輩が滑って転倒し、重傷を負った。その先輩が言うには、301号室の近くで何か不気味な気配を感じたとのことだった。私たちはその話を聞き、さらなる恐怖に襲われた。
結局、佐藤君は301号室にいたまま研修を終え、私たちは各地に配属された。その後、彼から連絡があった。工場での作業中、彼は重機に巻き込まれ、右手を失ってしまったという。
彼は電話越しに、「301号室から逃げていれば、こんなことにはならなかったかもしれない…」と呟いた。果たして、あの部屋の呪いは本当に存在したのだろうか。私たちの不安な心は、今も雪の中で揺れ動いている。
後日談:
後日談はまだありません。
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(0件)
コメントはまだありません。



