
私が小学校五年生の時。
友達のリナとユウナは、学校の帰りに古びた図書館に立ち寄った。薄暗い館内には、所々埃をかぶった本が並び、誰もいない静寂が広がっていた。
二人は一冊の黒いノートに目を奪われた。表紙には「願いを叶えるノート」と書かれていた。
「これ、面白そう!」とリナが言い、ユウナも興味を示した。中を開くと、ページの端には小さな文字で「心からの願いを書くことで、運命が変わる」とあった。
そのノートはただの遊び道具ではなく、何か異質な雰囲気を帯びていた。だが、子供の好奇心には勝てず、二人はそれぞれ願い事を考え始めた。
外は暗くなり、図書館の明かりが二人を包み込んでいた。リナは「世界一のサッカー選手になりたい」と書き、ユウナは「家族が幸せになりますように」と願いを記した。
ノートに書いた願いを一緒に水に浸すと、文字が消えていく様子を見て、二人は興奮した。
数日後、リナの父親がサッカーの試合で優勝し、彼女を表彰台に立たせた。ユウナの家族も、以前より仲良く過ごすようになった。
「本当に叶ったね!」と二人は喜び合った。
しかし、次の願いを書くために再びノートを使った時、ユウナが冗談半分で言った。「あのクラスメイトのカズキが、消えますように。」
カズキはいつも二人をいじめていた。彼の悪口を言い合った後、二人はその願いを書いた。
数日後、カズキは突然学校に来なくなった。噂によると、家族が引っ越したという。
「また叶ったのかも」とリナが言ったが、ユウナは不安な気持ちを抱えていた。
それから、二人の関係は徐々に疎遠になっていった。リナはサッカー部に入り、新しい友達と楽しむ一方、ユウナは一人でいることが多くなった。
ある冬の日、ユウナは街中でリナに出会った。リナは明るく笑い、変わらない様子だったが、ユウナの心にはあのノートのことが引っかかっていた。
「カズキのこと、覚えてる?」とユウナが尋ねると、リナは不思議そうに首をかしげた。「ああ、あの子ね。どうして?」
「実は、あの後、彼がどこに行ったか分からないんだ。引っ越したって聞いたけど、本当かな?」
リナは笑いながら言った。「そんなの、どうでもいいじゃん。私たちの願いが叶ったんだから!」
ユウナは不安を抱えつつも、彼女の笑顔を見てほっとした。
だが、その夜、ユウナは夢を見た。
カズキが彼女の前に立ち、「私を忘れないで」と囁く。目が覚めた時、心臓がバクバクしていた。
後日談:
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