
これは俺が高校時代、あるボーリング場でアルバイトをしていた時の話だ。知名度はそれなりにあり、地方で人気のボーリング場だった。店内は明るく賑やかだが、ある部屋には不思議な噂が立っていた。「あの部屋では、投げたボールが勝手に戻ってくる」とか、「ボールが一人でに動く」といったものだ。そんな噂を耳にして、俺はいつも少しだけ気になっていた。
ある冬の夜、友人たちと遊びに行くと、俺はその噂の部屋に連れて行かれた。ボーリング場の奥にあるその部屋は、他のレーンとは異なり、どこか薄暗く、妙な緊張感が漂っていた。友人の一人が「ここで遊ぶのが一番おもしろいよ」と言いながら、レーンに向かってボールを投げた。
その瞬間、ボールがレーンを滑る音と共に、突然画面が映し出された。流れてきたのは、まるで無表情な人々が行進する映像で、全員が同じ方向に向かって歩いている。しかも、奇妙なことに、その映像はボーリングのスコア表示と重なっていた。友人たちは笑いながらも、その映像に少し不安を感じているようだった。
俺もその映像に興味を引かれ、目を凝らした。誰も声を発さず、ただ無言で進んでいく人々の姿が、なぜか俺の心に恐怖を植え付けた。映像の中の人々は、まるでこちらを見ているかのように感じられ、背筋が寒くなった。友人たちが「何これ、気持ち悪い」と言い始めると、俺もその気持ちに同調してしまった。
その後、映像はすぐに消え、通常のボーリングの画面に戻った。誰も何が起きたのか分からず、ただ気まずい沈黙が流れた。俺はその部屋には何か特別なものがあると感じ、思わず友人に「これ、どういうことだろうな」と問いかけた。すると、友人の一人が「実はこのボーリング場、昔から不気味な噂があるらしいよ」と言い出した。
その時、俺の背後で何かが動く気配を感じた。振り返ると、誰もいないはずのレーンの向こうに、無表情の人影が立っていた。友人たちもそれに気づき、俺たちは恐怖で動けなくなった。その瞬間、ボーリング場の明かりが一瞬消え、再び明るくなった時には、その人影は消えていた。
結局、俺たちは急いでその場を離れた。あの映像が何だったのか、あの人影は何だったのかは分からない。けれど、そのボーリング場には、今でもあの不気味な噂が生き続けているのだろう。俺たちが見たものは、決して忘れられない恐怖として心に刻まれた。何が本当で、何が幻想なのか、あの場にいた全員が分からないまま、ただその恐怖だけが残った。
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