
中編
白い柱
すーさん 2日前
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私の家系は霊感というものとは無縁なのですが、唯一「親族に死人が出ると、人魂のようなものを見る」人間がたまに出ます。
兄は祖父が無くなる前日、祖父の布団の上をくるくる回る白い球が布団に吸い込まれていくのを見たと言います。
叔父が仕事中の事故で亡くなった際は、叔母と私の父が玄関から戸を激しく叩くような音が聞こえてきたそうです。
慌てて開けてみると、視界一杯の真っ白い光が家に飛び込んできて霧散したと言っていました。
普段こういった話を信じない父が真面目な顔をして話していて、当時小学生だった私は妙なリアリティーを感じて怖かったのを覚えています。
今から7年ほど前、今度は自分も似た体験をする事になりました。
実家から離れ、結婚もマイホーム購入も済ませた私は忙しい日々を過ごしていました。
ある日仕事が繁忙を迎え、終電で家に帰った時のことです。
丁度1時くらいにマンションの自室に戻ろうと階段を上ると、10mほど先にある我が家の玄関の前に白い「何か」が立っていました。
人の背丈ほどの高さのそれは、向こう側がうっすら透けて見える半透明の塊で白い蚊柱のように見えました。
何かが渦巻くように動いている、そんな感じでした。
すぐに「うちの家系で見る人魂ってやつだ!」と気付きましたが、どうしていいか分からず身動きが取れません。
時間にして数十秒だったと思います、その白い塊はゆっくり玄関に近付いていくと扉へ徐々にめり込むような形で消えていってしまいました。
すぐに家の中にいる妻を起こし安否を確認、翌朝には実家へ電話し親戚に不幸が無いか確認しました。
実家の人間もすぐに人魂の話だと気付き周囲に連絡しましたが、数日後に幸いにも身内に不幸はないことが確認されました。
ほっとした反面、ゾワッとしました。
では、玄関に溶け込んで消えた「あれ」は一体何だったというのでしょうか?
自分の知らない遠縁の誰かが亡くなったのか、それとも全然別のものが家に入ってきたのか。。。
暫くの間、言いしれぬ不安で中々寝付けませんでした。
数カ月後、妻が女の子を妊娠しました。
今では、あの白い柱は転生して我が家に来てくれた魂だったんじゃないかと思っています。
あの白い柱を見たとき嫌な気持ちはしなかったのは、決して悪いものではなかったからなんだと。
私の家系で起こる、生死の節目にだけ見える不思議な現象。
あまり怖い話ではありませんが、人生で一番
後日談:
- その後、特に変な現象は起こっておらず白い柱は転生した魂だったんじゃないかと思っています。
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