
3年前の秋の夕暮れ、友人と一緒に海辺でキャンプをしていた時のことだ。
焚き火を囲んで笑い合い、夜が近づくにつれ、海の波音が心地よい静けさをもたらしていた。しかし、崖の縁に立って海を眺めていると、ふと遠くに灯篭が見えた。何か引き寄せられるような感覚がした。
その灯篭は、崖を下った場所にあった。興味をそそられ、私は友人に言った。「ちょっと見に行ってくる。」
友人は心配そうに眉をひそめたが、私はそのまま崖を下り始めた。足元が不安定で、草や岩に足を取られながらも、灯篭が気になって仕方がなかった。
灯篭に近づくにつれて、なんとも言えない異様な雰囲気が漂ってきた。周囲は静まり返っており、風も感じられなかった。灯篭に近づき、手を伸ばすと、何かが視界の端で動いた気がした。その瞬間、私は足を滑らせて崖を転げ落ちてしまった。
幸運にも、下に生えていた木の根元に引っかかり、大事には至らなかったが、心臓がバクバクしていた。何が起きたのか理解できず、ただ震えながら木にしがみついていた。
その後、友人が心配して崖の下まで降りてきた。彼は心配そうに私を見つめ、「お前、何でこんなところに?」と叫んだ。私が灯篭のことを話すと、友人は驚いたように言った。「あれは、地元の人が供養するために建てたものだ。触れない方がいいって言われてるのに…」
その時、私は夢の中で見た光景を思い出した。何度も手を伸ばしていたあの夢。直前にあの灯篭を見つけていたこと、そして崖から落ちた時に掴んだ木の根。すべてが繋がっているように感じた。私が無視した祈りの意味を思い知らされた。以来、海に行くたびに、灯篭の前で無事を祈るようになったのだ。なぜあの時、灯篭に興味を持ったのか、自分でも分からないが、あの経験が私に何かを教えてくれたのだと信じている。
それからは、灯篭を見かけるたびに、いつも手を合わせることにしている。彼女の名前を呼ぶように、静かに祈るのだ。どうか、私を見守っていてほしいと。
後日談:
後日談はまだありません。
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(0件)
コメントはまだありません。


