
中編
神隠し
匿名 2020年5月30日
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友達と一緒に体験した話
2年くらい前の夏に高野山を登る話になった。友達Aと俺の二人で登った。
知っている人は少ないとは思うが高野山の山奥にラーメン屋があるんだ。
山登りのついでに食べに行こうとなって、上機嫌で登っていたが、途中で迷ってしまった。
しかも携帯は圏外だ。しかし、まだ昼頃だったので、そこまで焦らず、逆にその状況を楽しんでいた。
奥へ進むにつれ、道が狭くなり、明らかに登山道ではないことがわかった。
俺「そろそろ引き返そう。」
A「いやいやwまだ、時間あるしもっと行こうぜwww」
Aはこんな調子だった。
Aに先導されるがまま進んだ。
すると完全に迷った。途中から道もなくなり、孤立状態。
流石にAも焦っていた。時間はまだある。
俺たちは必死で歩いた。しかし、山というものは大きいもので、全然進んだ気がしない。
しかも、そこに空腹が混じり、俺たちは歩く気力が失われた。
木の上座ったボーッとしていたら気がつけば、6時。
だんだん暗くなってくる時間帯だ。
ヤバイ。このままだと死んでしまう。
そう考えた俺とAはまた、力を振り絞り歩き始めた。
だが、暗くて前が見えない。このまま、歩くとさらに危険だと判断し、野宿をすることになった。
そこからが地獄だった。
携帯のライトでお互いを照らし、会話をしていた。だが、会話はそれほど長くは続かない。
話すことも無くなりまた、沈黙が続いた。
その時だ、小さくだが、声が聞こえてきた。カエルみたいな変な声だ。
「グヮァァ〜」
「グワァァァヮヮヮ〜」
こんな鳴き声?だ。
俺たちはビビりまくった。
だってこんなに大きい山にたかが、2 3匹のカエルの声が響くはずがない。
緊張が走る。時刻はまだ、8時だ。
しかもどんどん、声が大きくなる。俺たちを包んでいるようだ。
どこへ逃げても同じように思えたので俺たちは手を繋ぎ、ひたすら走った。途中で何回も転けながら走った。
だが、その声が遠ざかることはなかった。
体力を消耗し、もう動けなくなってしまった。
俺たちは朝が来るまで、耐えるという選択を選ぶしかなかった。
俺たちは耳を塞ぎながら叫んだ。声を聞きたくない。それ以上聞いたら狂いそうだった。
俺たちはそんな状況にもかかわらず気が付いたら寝ていたようで、目が覚めると朝だった。
目を開いた瞬間開いた口が塞がらなかった。そこは森ではなく、寺だった。墓がたくさんあった。
Aを起こし、携帯を見ると電波が戻っていた。
あの声はもうしない。俺たちは逃げるように帰った。後から調べると高野山は日本三大霊山らしい。
特に奥之院という場所は有名だそうだ。
俺たちがいた場所は奥之院だったのか。あの声の正体はなんだったのか。
誰の仕業で俺たちはあんな場所にいたのか。すべてがわからないまま、今に至る。
皆さんを高野山に行く時は、しっかり道を調べてからにして下さい。そうしないと、俺たちみたいな体験をするかもしれませんよ。
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