
俺と知里はいつも一緒で、毎週末デートしていた。
知里は可愛くて話が合って、いつも一緒にいて楽しい女の子だった。
知里と付き合って2か月くらい経った頃。
学校帰りに知里とともに、知里の家の工場の前まで来た。
平日の午後だったが、工場からは何も聞こえない。
小学生の頃、この近くを通ったときは中からリズミカルな機械の音や働く作業着のおじさん数人が見えたが。
今日は休みなのかなと思っていると、知里は
「潰れちゃったんだよね、お父さんの工場。2年前に・・」
知里は寂しそうに言い、俺は驚きながら
「そうなの⁉︎」
「うん。でも大丈夫。今はお父さん違う仕事してるし生活には困らないから。」
「そうかぁ・・」
知里と出会うきっかけになった工場が今は動いてないと聞くと、寂しくなる俺。
知里は鉄の扉を開けた。
「ここで初めて出会ったんだよね。」
知里はしみじみと言った。
中にはもう動いてない機械や、今は倉庫として使っているのかコンテナなどが積まれていた。
知里とともに中に入っていく。
工場の奥は知里の家になっているようで、両親は仕事なのか家には誰もいなかった。
知里に案内され家に上がる。
2階の奥に行くと、そこには女の子の可愛らしい部屋があった。
部屋で知里と小さい頃のことも含めてしばらく話していた。
部屋で知里は髪をほどき、下ろした真っ直ぐな黒髪がとても綺麗だった。
そのあと日が傾いてきて、部屋が薄暗くなった。
知里は寂しくなったのか、不意に俺を抱いた。
「知里ちゃん!どうしたの?」
「○○くん、大好き!」
「俺もだよ!小学生で初めて知里ちゃんを見たときからずっと好きだった!」
「本当?嬉しい・・」
俺と知里は向かいあってキスをした。
外が完全に暗くなった頃。
「そろそろ帰るね。」
「うん。」
知里は俺を送り出してくれた。
工場の入り口側から出て、鉄の扉のところで知里は
「今日はありがとう!すごい良かったよ!」
「俺もだよ!ありがとな!」
そして少し開いた扉の前でに軽くキスする俺と知里。
知里は笑顔で鉄の扉を閉めた。
同時に6年前、ミニ四駆を取ってくれた小さな女の子のことを思い出す。
あのとき俺が工場にミニ四駆を入れなければ、知里との出会いはなかった。
俺はしみじみとそのことを思い出しながら家に向かった。
家に帰り俺の部屋に入ると、俺はあのミニ四駆のことを思い出した。
探すのに少し時間がかかったが、あのときのミニ四駆は普段は開けない棚の隅にしまってあった。
後日談:
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