
中編
追いかけてくる上半身
ぷー 2014年5月15日
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高校生の頃に聴いた話
当時よく幽霊屋敷探検などをしていた
そんな時友人の一人が仕入れてきた話で
北海道の岩○沢駅でのことらしい
岩○沢という所は冬になるととても雪が積もり、しかもとても冷える
線路の管理をする保線区(この字で合っているかちょっと不明)さんが早朝汽車が走り始める前にラッセル車で除雪をする
ある日いつも通りに仲間と数人で前夜に深く積もった雪の除雪をしていた
ラッセル車がガクンと大きく揺れ、すごい勢いで何かがラッセル車の前方に飛ばされていった
「やった…」
ラッセル車の後方にいた仲間たちもその音に気がつき、ショベルを片手に雪をこいで恐る恐る近づいてくる
「またネコだべか…」
たまに凍死した動物が雪に埋もれていることに気づかずにラッセル車で巻き込んでしまうことがあったらしい
ラッセル車の運転手が外に出る
「いやー、でもでかかったから犬か?」
そう言いながらみんなで雪が飛ばされた辺りに探しに行った
「うわぁっ、人だ!」
先頭にいた一人が叫ぶ
「救急車呼べ!」
「担架持ってこい!」
「おい!大丈夫か」
数人いた仲間たちはそれぞれ声をあげ、駅の方に連絡や担架などを取るために走って行った
残った二人がその轢かれた人に近づく
髪の毛は長く、どうやら女性らしい
雪の中から上半身を出し、うつ伏せに倒れている
やっとそばまで行き、女性に声をかける
「大丈夫か?なんでまたこんなとこに…」
するとその女性の手が動いた
「おい!生きてるぞ!」
後ろにいるもう一人の仲間に声をかけながら振り向き、手伝うよう手で合図する
しかし、後ろにいた仲間は目を見開き体をこわばらせていた
ふと轢かれた女性に視線を戻すと、ちょうど両手をついて体を起こそうともがいている
「あんた無理するな、今救急車来るから」
体を起こそうと必死に両手をつくが雪の中のため、体重をかけるとズボズボと埋まったしまう
手を貸そうとその女性の腰のあたりを支えようとすると、
ない?
腰から下がない?
ベッタリと血が手についている
恐る恐るもう1度女性の顔を見ると
鬼のような形相でギロリとした目で見ている
恐怖で思わず一歩下がる
両手をつき上半身をおこし始める女性
片手が男の足をつかむ
「わっー」
恐ろしさのあまりに走り出す
少し離れた所で止まり振り替えってみる
と、女は両手で雪に埋まりながらも追いかけてくる
男はまた走りだすが、深い雪に足を取られなかなか早く走れない
女は両手だか下半身がないせいか、かなりのスピードで追ってくる
逃げても逃げても女との距離は離れず、逆に近づいてくる
どんどんと女はちかづいてくる
このままでは追いつかれると感じた男の人はふと目の前にある鉄塔に登った
すると女も鉄塔をよじ登ってくる
登れる所まで登り詰めてしまった
血まみれで恐ろしい形相の女
顔や手は紫色になり、すでに生きているこの世のものではない
もう、すぐそこまで来ている
男は飛び降りようか、高いが下は深い雪だし大丈夫だろう
でも万が一骨でも折ってしまったら今度こそ本当に逃げられなくなってしまう
そんなことを考え躊躇していると
とうとう女の手が男の足に手が届くところまで来ている
もうだめだ!
と体を硬くし、目をつぶる
来る!来る!来る!
しかし、足を捕まれることはなかった
ゆっくりと目を開けてみる
「なんだ?!」
女は男の足をつかもうと手を伸ばしたまま
その動きを止めていた
目は見開き、ボロボロの爪を男の足の下に伸ばしながら
「おーい、大丈夫かぁ」
救助にきた仲間たちの声がする
そして誰もが鉄塔の下で、女の姿を目の当たりにし、声をあげることもできなかった
女はそのまま動かなかった
後日談
男の人は下に降りたが、女の体は固まっていて警察や消防の人が苦労して下ろしたとのこと
それを事件を聞いて駆けつけた新聞社の記者が撮影したらしい
しかし、新聞には掲載されなかった
その時の写真がその新聞社にあるという
ある日の夕方、学校帰りにその新聞社の本社に電話をかけて聞いてみようということになった
記者だという男の人にその話をし、写真があるときいたのだが本当かと尋ねてみた
すると、
「よく知ってたね、その話」
「誰から聞いたの?」
知り合いからと答えると
「悪いけどアレは警察から報道規制されたから公開はできないよ」
「…あるけどね」
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