
高校の美術室で、後輩のTが転校生のDについて語り始めた。Dは活発で、周囲にすぐ溶け込むタイプだった。Tは、Dが特に自分に対して冷たい態度を取る理由を理解できなかった。
DはいつもTを見下すような言動をしていた。彼女は他の友人たちと話しているときも、Tのことを無視することが多かった。ある日、TがDの描いた絵を褒めたとき、Dの表情は一変した。「そんなの、誰でもできる絵だよ」と冷たく返され、Tは驚いた。
時が経つにつれ、Dはクラスメートに対してもその態度を変えなかった。Tはそれを我慢し続けたが、心の中ではDの存在への不安が膨れ上がっていった。Dは美術のセンスを巧みに利用して、周囲を味方に引き込むのが得意だった。Tが描いた作品に対しても、「それは誰かの真似だよね」とさりげなく攻撃してきた。
Tは次第にDとの接触を避けるようになり、彼女がいない時間を選んで美術室に通うようにした。しかし、DはそんなTを見逃すはずもなかった。ある日、美術室で一人作業をしていたTの背後にDが現れた。「また一人でやってるの?寂しいね」と、皮肉を込めた声音で話しかけてくる。
その日、TはDに対して怒りをぶつける決心をした。「あなた、私のことをずっと嫌ってるよね。それなら、何で私に近づくの?」と問い詰めた。するとDは微笑みながら言った。「私があなたを気にする理由なんてないよ。私はただ、あなたが私の絵を見ているのが気に入らないだけ。」
Tは言葉を失った。Dは、いつも自分の心を支配しようとしていたのだと気づくと同時に、恐怖が彼女を襲った。Dは転校生としての特権を使い、Tを孤立させることで自分の存在を際立たせていたのだ。
Dが転校してからしばらく経った後、Tは美術部の仲間たちと過ごすことで少しずつ心の平和を取り戻した。しかし、Dのことを思い出すたびに、彼女の支配的な態度が心に影を落とした。友達のフリをしながら攻撃してくる存在の恐怖、そしてその恐ろしさを感じたことが、今でも忘れられない。友達のようで、実は敵だった。あの時、Dの背後に潜む影を見抜いていれば、違った未来があったかもしれない。
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