
短編
くぅぎぃ
匿名 2日前
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森で起きた怪奇現象の探索に先輩、後輩、私の3人で調査に行った時の事である。
この森で何人もの遺体が見つかったのだが、土に埋められてる訳でも無く、中には木の枝にぶら下がった状態で見つかったとの報道もあり、人間の仕業にしてはあまりに異様なので先輩が調査したいとの事で同行したのです。
より調査範囲を広げるため、各々散らばって探索を開始して、しばらくした頃、突然叫び声が森に響き渡り、私と先輩は声の元へと駆けつけました。
そこには後輩ちゃんが口から血を流し倒れていて、我々が呆然としてる間にも白い身体から血がどんどん溢れてきて、私はいつの間にか血溜まりの中に立っていました。
後輩ちゃんはうつ伏せに倒れていて微動だにしません。野犬か熊にやられたのかと思ったが、そんな気配も音もしない。
ホォーと不気味な野鳩の鳴き声で我に返り、ゆっくり周りを見渡すと人に見られてるような厭な視線を感じた。恐る恐る見上げると木の太い枝に猿の様な、それにしては大きすぎる黒い固まりの何かが居て、それは目だけが赤く光っていました。恐怖にすくんでいると、「くぅぎぃ、じぃんしぃ、くぅぎぃ、、」とまるで人のような声で喋るのです。全速力で逃げたかったのですが、後輩ちゃんをここに残して立ち去るのは後輩ちゃんの身体をアイツに汚されるような気がして、断固として動かぬぞと肝に据えて睨み返しました。しばらく睨み合いが続きました。そのうちアイツはウロウロしたり枝を揺すって威嚇し出しました。こちらはもう覚悟を決めていましたし、次第に後輩ちゃんを殺された事への怒りがフツフツと沸いてきて、恐怖と怒りがごちゃ混ぜになって震えました。もう気持ちが爆発しそうだと感じた時に、ようやくアイツはブツブツ喋りながら去って行きました。
その後の事はよく覚えてません、後輩ちゃんの体を先輩と二人で担いで森を出て、怒りと悔しさで頭がクラクラして道にへたり込んだと思います。
後日先輩に、あの得体の知れない奴よりお前の方が目が完全に血走ってて真っ赤で数倍恐かったと言われました。
しかしアイツの正体は一体なのでしょう?
今度先輩と二人で狩りに行こうと思います。
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