
私は以前葬儀会社の事務員として働いていました。ただ、その会社は常に人手不足でしたので、しょっちゅう新人の私はよその部署の応援(お手伝い)に行かされました。
特に行かされたのが散骨をする部署でした。
散骨をする部署は散骨を希望するお客様と打ち合わせをして、海や山どちらで散骨をするのか決めてから、御遺骨(骨壺)をお預かりします。
そしてお預かりした御遺骨を機械を使って粉末状にして、お客様の希望する日に海か山に行って散骨をするのです。
私は基本的には打ち合わせをして、御遺骨を受け取るお手伝いをしていました。御遺骨は木箱に入った状態でお預かりして、専用の部屋で保管します。
その部屋は異様な空間でした。商店街にある古い雑居ビルの二階にあった和室のその部屋には、常に木箱に入った骨壺が十柱(はしら)以上置いてありました。
特殊な仏壇に並ぶ骨壺の列。幽霊的なものを信じない私もそこにいると、何だか異様な空気を感じました。
いえ、仏壇に並んだ骨壺からではありません。“仏壇の脇に置かれた金庫”の中から感じていたのです。
仏壇の横には何故か古くて大きな赤錆だらけの金庫が置かれていました。その金庫は常に開いた状態になっていて、中には木箱が二つ置かれていました。はい。骨壺です。それは二柱の骨壺でした。
······きっとこのお話は本当にタブーな内容です。社名を出して話すと、ニュースになってしまうレベルの。
なので、ここだけのお話しとして、あなたの心にしまっていただけると助かりますm(_ _)m。
その金庫の中の骨壺には貼り紙がされていました。
『本社からの連絡があるまで絶対に作業をするな! ※年※月※日』と。
書かれた日付は一つは平成初期。もう一つは黄ばんで見えなくなっていました。きっと平成よりも前。昭和時代に書かれたようでした。勿論気になりました。なので訊いてみました。
「これは何ですか?」と。
私が訊いた相手は四十代前半の男性で、その部署にきて実はまだ日の浅い方でした。でも、退職した先輩から事情は聞いていたようで、私に話してくれました。
ちなみにすごく話すのが嫌そうでしたし、話す前に「絶対に他言しないでね!」と何度も口止めされました。
平成になってすぐ、会社に電話があったそうです。「旦那の骨を海に撒いてくれませんか?」と。電話の主は市内に住む、四十代の女性だと名乗り、どうしても旦那の遺骨を散骨したいのだと話していたそうです。
後日談:
後日談はまだありません。
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(0件)
コメントはまだありません。


