
短編
小さな世界
匿名 2日前
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某有名遊園地の「小さな世界」という意味の乗り物。
ほとんどの人は乗ったことあると思う。
私が小学5年生のとき両親と3年生の妹とこの遊園地に来ていた。
開校記念日の平日に来たためかなり空いていて、たくさんのアトラクションに乗れた。
閉店間際の時間になり、私と妹は
「空いている時間だし、もう一つ乗りたい。」
と言ったが、母や父は会社とかに持って行くお土産を選んでいるらしく、私たちは駄々をこねるだけだった。
しばらくすると母は、
「一つだけなら乗ってきていいよ。必ずここに戻ってきてね。」
と言い、私は「小さな世界」に行くことを告げると、妹とともに乗りに行った。
船の着く乗り場に着くと、平日の閉店間際のためか私たち以外に誰もいなかった。
私たちはラッキーと思い、アトラクションの船に乗り込んだ。
妹と2人だけだったが、特に不審がられることもなく乗せてくれた。
そしていつものように、沢山のお人形が歌い・踊る小さな世界を楽しむ私たち。
2人だけで少し心細い感じもしたが、楽しい音楽に私たちは楽しんでいた。
そして半分が過ぎたあたりでのこと。
突然、音楽が一斉に消えて辺りが少し暗くなった。
何か電気の不具合でも起きたか。
暗闇ではなく、閉店後のように微妙に薄暗い状態だった。
船は止まることなく、水の音とともに延々と進んでいた。
さらに、人形の口や手足が動いていた。
薄暗い中で人形だけが微妙な動作音とともに動いている状態。
音楽も消えた暗い部屋で、薄暗い水路を進む船、無機質に動いている人形は非常に不気味だった。
残りは半分程だったが、とても長く感じた。
私と妹は黙ったまま下を向いたり、妹は今にも泣きそうな顔をしていた。
そしてゴールに着いたときは、とても安心した。
なぜか船着場にキャストがいなかった。
私たちは船から降りて、逃げるように走り両親の元へ帰った。
そのことを帰りの車の中で話しても、母は
「またまたぁ!」
と笑って本気にしなかった。
私と妹はときどき変な冗談を言うこともあったので、信じてもらえなかったのかも知れない。
ただ、父だけはバックミラーで私たちの顔を見ながら真剣な目をしていた。
その理由は父にあとで聞いても教えてくれなかった。
この怖い話はどうでしたか?
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- 私も乗った事あるので、想像したらそれはそれはとても恐怖だと思います。お父様には何か分かる事がありそうですね。うんこりん