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中編

もう一人

匿名 2022年8月21日
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これは自分がまだ心霊スポット巡りをしていた若い頃に体験したお話です。 私の職場では何かしらの心霊体験や目撃談をたまに耳にします。 残業が終わり、辺りが暗くなった頃に電気の着いていないフロアで子供が立っており、お母さんが仕事終わるのを待っている子供が入ってきたのかな?と思い 「お母さん待ってるの?」 と声を掛けると、子供が振り返り顔を見ると顔が無かったという話。 食堂に荷物(弁当等)を置く棚があるのですが、帰りに食堂に荷物を取りに行くと、食堂のテーブルのしたに赤い靴を履いた足が見えているがテーブルの上からは胴体は見えておらず、足だけが見えるという話。 2階の女子トイレの前には女の子がいて何をしてくるわけでもなく、ずーっと立っているという話。 地鎮祭で祈祷師の方が2階の女子トイレを過ぎたすぐの辺りで足を停め 「このあたりで仕事中具合い悪くなる方いませんか?」 と言い、儀式なのかお祓いなのかを始めたという話。 等々、色々あります。 私が昔夜勤をしていたときの話です。 3人1組で作業をしていました。 夜勤メンバーも当時は減ってきて私達3人とリーダーが1人の計4人でした。 ある時、私が作業をしていると背中を誰かが撫でてきます。 この時の夜勤のリーダー(Aさんとします)がイタズラ好きな人だったので、Aさんだなと思い振り返ると誰もいません。 他の2人(BさんCさんとします)が、どうした?と聞いてきたので、背中を誰かが撫でてきたからAさんのイタズラかなと思ったんだけど…と答えると、Aさん机に座ってるじゃん!と言われ、少し離れたAさんの机を見ると確かにAさんが座っています。 誰が私の背中を撫でたんでしょうか。 数日後、3人で作業をしていた時それは起こりました。 部品を入れている箱を床に置いていたのですが、それが突然ザーッ!と動いたんです。 3人で動くところを見ていたので、間違いありません。 部品は金属の部品が1000個も入っていて重量もあるので勝手に動く筈がありません。 C「何で動いた?」 B「動くわけないよな、平らな床に重い箱が」 私「やっぱり何かいるのか…」 それからの夜勤は少し怖く感じていました。 ある時、部品を取りに倉庫へ行きました。 階段を下りると視界の隅に何かがいることに気付きました。 赤い何かが。 私「うわぁっ!」 と声を上げよく見ると、それは消火器でした。 敏感になっていたのでしょう。 ホッと胸を撫で下ろしました。 夜勤が終わる時間は深夜2時です。 まだ春になったばかりの肌寒い夜のこと。 仲の良かったBと仕事終わりに24時間営業の食堂へ食事に行くことにしました。 トラックの運ちゃんが食事していたり、夜遊びしていたであろう若者が食事をしに来ている時間帯です。 店に入るとお客さんは誰もいませんでした。 店員「3名様ですか?」 私「いえ、2人です」 Bはチャーハンとラーメン、私は焼肉丼とラーメンを頼みました。 先に2人分のラーメンがきました。 と、その直後に大きな蛾が一直線に私のラーメンの中へ。 「ビチャッ」 蛾は死んだのか動きません。 店員「すみません、替えのラーメンすぐにお持ちします」 食堂の裏手が山なので今の時期に蛾が出てきてもおかしくはないんだろうけど、何も私のラーメン目掛けて飛んで来なくても…と思いつつも、替えのラーメンと焼肉丼を食べてお腹いっぱいになり満足しました。 帰り道、右折すると県病がある大きな交差点で信号待ちをしていた時です。 突然車の横から麦わら帽子にワンピースの女の子が現れ横断歩道に向かって行きます。 車の横を歩かなくても歩道歩けばいいのにと、そのくらいにしか思っていませんでした。 B「あれ何か変だぞ」 私「何が?」 B「手も脚も動いてないだろ!」 私「…!」 よく見ると手も脚も動かずに移動しています。 私「うわぁっ!」 と同時にフッと消えるかの様にいなくなりました。 B「今の絶対人間じゃないよな…」 翌日会社でこの話をCにも話しましたが信じてくれませんでした。 よくよく考えるとあの肌寒い夜に麦わら帽子とワンピースはおかしいし、3名様ですか?と言われたのも店員にはもう1人見えていたのでしょうか。 あの女の子が。 会社での怪現象の時から側にもう1人、あの女の子がいたのかもしれません。

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