
それは冬休みに入った初日のことだった。高校生の僕と友達のユウは、近所の廃墟となったテーマパークに肝試しに行くことにした。かつては家族連れで賑わった場所も、今では暗い影に覆われ、無残な姿をさらけ出していた。
廃墟に着くと、足元には雪が積もり、静寂が支配する中、僕たちは不気味な雰囲気に包まれた。ユウは早速、携帯電話を取り出し、写真を撮り始めた。「こんなところ、誰も来ないよね」と言いながら、彼は笑っていた。
しばらくして、ユウが携帯をなくしたと言い出した。焦りながらも、彼はスマホの位置情報を確認しようとしたが、電波が届かず、使えなくなってしまった。無理もない、ここは電波すら届かない場所なのだから。
「探そう」と僕は提案した。夜は深まり、辺りはますます暗くなっていく。二人で廃墟の中を歩き回り、落ちているゴミや壊れた遊具をかき分けたが、携帯電話は見つからなかった。ユウは焦りと恐怖で顔を曇らせていた。
「こんなところにいるのは危ない。帰ろう」と言ったが、彼は「もう少し探さないと、お母さんに怒られる」と言った。僕にはそれが少し引っかかっていた。彼の母親は厳しく、彼が遅くなると必ず連絡を入れるよう言われていたからだ。結局、僕はユウを残し、家に帰ることにした。
帰る途中、廃墟の近くを通ると、僕は不意に立ち止まってしまった。薄暗い入口のところで、誰かが立っているのが見えた。それはユウだった。彼はまだ携帯電話を探しているのか、無言で佇んでいた。
「もう帰れよ」と声をかけようとしたが、恐怖心から言葉が出なかった。通り過ぎてから、以前に友人が「この廃墟には不審者がいるから気をつけろ」と言っていたことを思い出し、後悔したが、何もできなかった。正直、ユウが少し怖くなっていたのだ。
次の日、ユウは学校を休んだ。心配でたまらなかったが、何もできない自分が情けなかった。彼が無事であることを祈るしかなかった。
しかし、翌々日、ユウは普通に学校に来た。安心した僕は、肝試しでの出来事を尋ねた。すると、彼はこう言った。「お母さんと一緒に探したら、見つかったよ。」
驚いた。彼は一人で来ていたはずだ。廃墟には他に誰もいなかったはずなのに。ユウが嘘をついていることがすぐにわかったが、何も言えなかった。
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