
短編
◇不気味な子どもたち◇
としかず 2日前
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昔私が住んでいたアパートの一階に変わった子どもたちが住んでいた。
その子たちは同い年くらいなのに学校には通わず、ほとんど外に出てくることもなかった。
どういうきっかけでそうなったのか忘れてしまったけれど、私と妹はその子たちの家で遊ぶことになった。
遊ぶと言っても室内でババ抜きだった。
あまり見たことがなかったけれど、やっぱり二人の子どもは同い年くらいに見えた。
「どうして学校に行かないの?」
気になっていたので聞いてみたけれど返事はなかった。
二人ともトランプを真剣に見ている。
聞こえなかったのかもしれない。
でも、私の妹が言った一言にはしっかり反応した。
「どっちがお姉ちゃん?」
妹がそういうと二人は同時に「私たち姉妹じゃないよ」とこたえた。
妹は「そうなんだ」と言って話しを流してババ抜きを楽しそうに再開した。
私一人がその場でかたまっていた。
おかしくない?
いろいろな疑問が頭の中に浮かんだ。
姉妹ではないのに一緒に暮らし、学校にも通わない。
それは子どもながらに異常なことだと思った。
二人の少女に変わった様子はない。
二人とも肩くらいまで髪を伸ばしていて、ありふれた服装をしている普通の子どもたちだ。外見的には。
でも、その生活環境が不気味すぎた。
早く帰りたくなった。
しばらくして、下の階の子どもたちはいつの間にか引っ越してしまった。
挨拶もなく、本当にいつの間にかいなくなっていて、母や近所の人たちも「いつの間に引っ越したのかしら?」と不思議がっていた。
学校に通わず、外出もせず、姉妹でもないのに一緒に暮らし、いつの間にか引っ越した子どもたち。
もしかすると、なんらかの事件に巻き込まれていた子どもたちだったのかもしれない・・・。
了
後日談:
- ・・・下の階の子どもたちの親の姿を私はどうしても思いだせない。 勿論、子どもだけで住んでいるわけはないので、大人がいたはずなのに、まったく記憶にない。 遊びに行ったので見ているはずなのに、性別すら記憶にない。 不思議です。
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