
短編
あのおばちゃんは?
匿名 2日前
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何年か前、当時結婚していた私は、年末年始に嫁と箱根の温泉旅館に行きました。
神奈川県側と反対に山を降りると御殿場アウトレットなどがあり、買い物でもしようと計画していました。
2日目の朝、天気が崩れそうでしたが、私が車を運転し、山を降りて御殿場をドライブしました。少し雪が降ってきたので、早めに帰るつもりで予定を前倒しして、アウトレットに行きました。買い物をしてる間、とんでもなく雪が大降りになり、ほんの数時間で10センチ以上は積もる大雪になってしまい、まさかの事態にチェーンも無く、旅館まで戻るのは難しくなりました。
旅館に電話すると、迎えにきてくれるとの事です。我々はホッとして、アウトレットの駐車場で迎えを待つことにしました。しばらくして迎えにきてくれるドライバーから連絡が有り、同じ状況で足止めされている旅館のお客がいるので、一緒に車に乗せたいとのこと。3人家族らしいですが、困っているのはお互い様ですからと了承し、同じ場所から乗る事になりました。
30分程で迎えが到着し、我々夫婦が車に乗るときに、ちょうど一緒に乗る予定のご家族三人、若いご夫婦と小学生位の女の子も向こうからかやってきました。
まず私の嫁が先に乗り、次に私が乗りました。奥の座席にすわったので、我々の前に若いご夫婦と小さな女の子が乗ることになります。先に旦那さんが乗り、奥さんが子供と手を繋ぎ、車に乗せました。迎えにきてくれた運転手がドアを閉めようとしたその時、女の子が言いました。
あのおばちゃんは乗らないの?って。
周りには我々以外誰もいません。駐車場の隅っこの暗い場所です。
女の子のお母さんは、何怖いこと言ってんの!誰もいないでしょ!って言いながら私を見てすいませんとか半笑いで言っちゃってます。
お父さんと私の嫁はなんか下を向いて静かに笑ってます。
ちなみに私の当時の嫁はとても霊感が強く、私には見えない物がたくさん見えるような人でした。
迎えの運転手さんと、私は固まって変な笑いを浮かべることしかできず、その場はなんとも言えない空気が流れていました。
後日談:
- その女の子には見えるのでしょう。女の子の親は何度もそのような経験をして、対応に慣れているのでしょう。私の当時の嫁は、私が聞かない限り、何か見えても言わないでくれという私との約束を守ってくれていました。 固まって薄ら笑いを浮かべていたのは、迎えの運転手さんと私だけでした。
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