
女子大生の生活も少し慣れてきたある日、俺はいつも通り大学から家に向かっていた。
都心の大きなターミナルの駅を歩いていたとき、見覚えのある男を見た。
その男は、なんと「俺」だった。
男だったときの自分自身。
俺は慌てて俺を追いかけた。
人混みの中で追いかけていくのは大変だったが、
「すみません!」
「はい?」
振り向いた顔は少し驚いた感じの俺自身。
そしてその声は俺の声だった。
「○○正昭さんですよね?」
「そうですが?」
「俺・・私です。○○果帆です。」
元の俺は困惑したように俺を見て、今の俺はどう説明していいか混乱した。
それでも俺は
「あの、前から気になっていたんです。良かったらお茶でもしませんか?」
不思議そうな顔になる元の俺だが、若くて可愛い女が言うんだから悪い気はしない。
俺のことだから分かっていた。
(以下、今の俺を「俺」、元の俺を「正昭」と書く)
そして正昭と一緒に近くの喫茶店に入った。
世間話をして談笑する俺たち。
正昭も俺に興味を持っているようだった。
当たり前といえば当たり前だが。
そのあとは正昭と長い時間話し、次の日にまた会うすることにした。
・・
次の日、夕方頃に正昭と待ち合わせた。
正昭は会社員だが、仕事を早く切り上げて会いに来てくれた。
そして正昭と町を歩きながら、俺の方から手を繋いだり、体を寄せたりした。
正昭は嬉しそうだった。
元の俺なら、こんな可愛い女の子が積極的になることなんて一度もなかった。
そのあと、海の見える公園でベンチに座る俺たち。正昭は、
「どうして君は、僕に対してこんなに積極的なんだい?」
俺は答えるべきか迷ったが、本当のことを打ち明けることにした。
「実はね、あなたは元の私なの!」
俺が言うと、正昭はまたもや不思議そうに
「どういうこと?」
「私・・っていうか俺は元々「正昭」だったんだよ。仮想体験で女性の世界を体験してそれが今のこの俺の姿なんだ。だから、俺は君なんだよ!」
すると正昭は動揺を隠せないようだった。
目の前にいる今の俺が若い女だから尚更だ。
仮想体験での今の正昭が何者なのかは俺にもわからない。
過去の自分だとしたら今の俺と会っていることと矛盾する。
未来の自分だとしても、こんなことなんて現実にはないだろう。
だから、目の前にいる正昭は俺をモデルとした幻影か何かだと思っていた。
「本当なのか?」
「勿論!」
すると正昭は
「俺も仮想体験でこの世界に来たんだ。」
意外なことを言う正昭と驚く俺。
「え、そうなのか?」
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