琵琶・・・・・ どことなく物悲しくて 心の奥に染み込んでくる音色 いいものです・・・・ 琵琶と言えば・・・ 不思議な体験をした事があるんです・・・・ 九州の友人の家に泊まりに行った時の事なのです この家の床の間に 古い、たいそう立派な琵琶が置いてあったんです 友人のおばあちゃんが長い間愛用していたものだったんですが おばあちゃんが亡くなると、誰も弾くものがいないんで 床の間にただ鎮座まします、という事になったわけです こんな事はどんな家にもよくある事です 古い物はだんだん消えて行くもの・・・・ ちょうどわたしが行った時 この琵琶のことを聞きつけた人が 是非とも譲って欲しいとの話しを持ちかけてきたんです それも高い値で・・・・ 友人は渡りに舟と話しを決めました 「明日届けます」と・・・・ ところが、翌朝になると・・・・ 琵琶が真っ二つに割れていたのです これでは売る事は出来ません 捨てるしかない・・・ 先方に断りの電話をいれて 床の間に戻ると・・・・ どうでしょう・・・ 琵琶が元の位置に元のまま 割れていたはずの場所に 継ぎ目もなくまったく元の姿に戻って 床の間にあったんです 「これは、ここに置いておけと言う意味だな」 っと誰彼ともなく言い出し・・・ 「家宝だ、家宝にするしかない」 っと友人はつぶやきました みんなは無言でしたが 心の中では同意していました そして、その夜の事・・・・ ベベン・・ベベン・・ 眠っていたわたしは聴きました 聴いたんです 美しい琵琶の音色を・・・・ それはそれは美しい音色でした 以来、友人の家に誰かが泊まりに行くと 聴こえるんです うっとりするような美しい琵琶荷の音が・・・・・