
それは私が小学生の頃、冬の寒い日の出来事です。
友達と遊んで帰る途中、ふと振り返ると、見知らぬ少女がついてきていました。彼女は私とほぼ同じくらいの年齢で、青いスカーフを身に着けていました。
「誰?」と友達に尋ねると、彼女も知らないと言います。私たちは首をかしげながら、また歩き始めました。彼女はただ静かに後ろをついてくるだけです。
家に着くと、友達は「彼女、遊びたがってるんじゃない?」と言いました。私は「うちで遊ぶ?」と聞くと、彼女は「うん」と頷きました。
その後、私たちはおままごとを始めましたが、彼女は無口で、ほとんど笑顔を見せませんでした。夕方になると、急に遊びをやめて、一言「帰る」と告げて静かに去って行ったのです。
それ以来、彼女は時折私の家を訪れるようになりました。いつも午後、他の友達がいないときに現れ、青いスカーフを身に着けていました。
ある日、祖父が私にその子の名前を尋ねました。私はそのとき初めて彼女の名前を知らないことに気づき、次の訪問の際に問いかけました。彼女は「ゆうちゃん」と答え、再び夕方になると去って行きました。
その晩、私は祖父に今日の出来事を話しました。すると祖父の表情が変わり、「あの子は昔、この山で行方不明になった子かもしれない。確か、青いスカーフをしていたという話だ」と言いました。
聞けば、山の近くで子供が遊んでいるとき、崖から落ちて亡くなってしまったそうです。名前は由美子、愛称は「ゆうちゃん」だったとのこと。
翌日、祖父はお供え物を持って私を連れ、山の頂へ行きました。そこで彼女のために祈りを捧げ、「もう遊べないよ、許してね」と手を合わせました。
それ以来、彼女は私の前に現れることはなくなりました。嘘のような話ですが、今でも心に残る不思議な出来事です。彼女の存在は、時を経ても消えることはありません。どこかで、静かに見守っていてくれるのかもしれません。
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