
私が通っていた大学には、かつての図書館の名残を残した“旧図書館”がありました。大きな書架が並ぶその図書館は、資料室や研究室も兼ね備えた広大な空間でしたが、私が利用するのは主に1階と2階だけでした。
しかし、その旧図書館には、学生の間で語られる奇妙な噂がありました。『あの図書館の地下には、行ってはいけない本があるらしい』。新しい情報を好む後輩や、夜の図書館での肝試しを楽しむ先輩たちによって、その噂は広まり、私の耳にも届くようになりました。
その冬のある夜、友人との待ち合わせよりも早く着いてしまった私は、好奇心に駆られ、噂の真相を確かめることにしました。
まずは地下。普段利用することのないフロアでしたが、薄暗い空気が漂い、少し不安を覚えました。それでも一歩踏み込んでみると、冷たい空気が体を包み込みました。すぐに上の階に戻ろうと考え、急いで階段を上りました。
1階から2階へと到達すると、そこは明るく、他の学生たちもちらほらといて、少し安心しました。しかし、上の階は別でした。まだ足を踏み入れたことのない3階、そこに何が待っているのか、興奮と恐怖が交錯しました。
階段を上がり、3階に到達。静かな空間の中、うっすらと古い本の匂いが漂っていました。そこで、何かが私を引き止めました。目の前の本棚の上にかすれた文字で書かれた“4”が異様に目に映ったのです。その不気味な印象に、背筋が凍る感覚が広がりました。
『これは、やばいかもしれない』
そう感じたとき、急いで階段を駆け下り、1階に戻りました。その時の心臓の高鳴りは今でも忘れられません。冷たい汗が全身を覆い、安堵の息を吐きました。
後に、図書館の管理者に聞いたところによると、旧図書館は実際には4階建てで、地下室は存在しないとのこと。しかし、私が見たあの“4”の数字は、一体何を意味していたのでしょうか。もしもそのまま上がっていたら、私はどうなっていたのか、今でも思い出すたびに背筋が凍ります。
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