
長編
人を呪わば穴二つ
つなか 3日前
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に立っていた。おじさんが口を動かすタイミングで、狂ったように首を縦に振りうなずいていた。
店長デスクを映しているカメラに、防犯カメラに釘付けな店長の姿が映った。
店長には全て見えていたんだ。
僕がフロアに戻っても、3人の男たちは依然としてそれぞれの場所に立っていた。そして店長はデスクで何かを握りしめひたすら祈っていた。
映像を見ていた僕にオーナーは曇った表情でこう言った。
「問題はここからなんだ。気味が悪いかもしれないがしっかり見てほしい。」
オーナーはそう言うと、映像を早送りした。
そして2時52分で止めた。
フロアを映す映像に目をやると
あれ?
フロアにいたはずの男たちがいない。
そして店長デスクに視線を移した時。
僕を呼び出し、あの赤いお守りを手渡している店長の姿。
そして赤い男たちが僕らを取り囲んでいた。
彼らはみんな、僕に向かって指をさしていた。
それからずっと、彼らは僕についてきていた。
あのおじさんが拍手をしていた時も、新聞配達のお兄さんが来た時も、職人さんや交代のおじちゃんおばちゃんと話している時も。ずーっと僕の横にいた。
6時3分。
僕がお守りをゴミ箱に捨てている姿が映った。
その瞬間、映像がプツっと切れてしまった。
すぐに映像は戻ったが、次に映った映像は、見るに耐えないものだった。
真っ赤な店内。轟々と燃え盛る炎と煙が立ち込める中、防犯カメラに向かって指を刺し、何かを叫ぶ黒焦げの人たち。
それはまるで、地獄のようだった。
もし。お守りを持ち帰っていたらと思うと、
今も震えが止まらない。
帰宅後にふと気付いたのだが、
映像を早送りした時「しっかり映像を見てほしい」と言っていたオーナーの言葉も何か腑に落ちない。
もしかして…
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