
小学生の頃の同級生に“雨(あめ)ちゃん”という変わった名前の女の子がいました。
でもその子は名前だけではなくて、“気持ち悪い嘘”をつく変わった子どもでもありました。
「剥がしたカサブタを食べるのが好き」
「今まで猫を十一匹殺した」
そんな悪趣味な嘘を楽しそうに話す雨ちゃんは、正直みんなから嫌われていましたし、距離をおかれた存在でした。
勿論、私も嫌いでした。
だけど私が一番雨ちゃんの家の近所だったことから、雨ちゃんが休むと、必ず自宅まで手紙などを届けていました。
その日も、雨ちゃんが熱を出して休んでいたので、私が雨ちゃんの家まで手紙を届けに行きました。
正直行きたくなかったです。
雨ちゃんの家は一軒家なのですが、玄関前の庭が私の背丈くらいの高さまで伸びた雑草で覆われていて、家に辿りつくのも大変だったんです。
しかもそれだけではなく、いつも手紙などを渡す雨ちゃんのお父さんも苦手でした。
「お父さんがお母さんを車でひいて、お母さんが死んじゃったからだよ」
私が父子家庭のことを訊いた時に、雨ちゃんからそんなふうに言われていました。
勿論嘘だと思っていましたが、でも苦手なことに変わりはありません。
「······」
無精ひげに汚れた作業着姿の雨ちゃんのお父さんは、私が手紙を持って行っても何も言わずに、玄関の所で立ったままジッと私を見ていました。
何を考えているのかわからない不気味な視線。
いつも私は困惑していました。
そして、その日は更におかしなことがありました。
「······行こう」
「えっ!?」
急に言われた私は、何処に行くのかもわからないまま、車に乗せられて、山側にある自然公園へと向かいました。
何がどうなっているのか。
小学生の私にはまったくわからない状況でした。
そして着いて車をおりてから、私は雨ちゃんのお父さんに言わるまま、どんどん山道を進んで行きました。
もうすっかり夕方で、勿論公園に来ていた人たちも帰っています。
なのに私は雨ちゃんのお父さんと一緒に山道を歩き続けました。
当たり前ですが、子どもの私は大人の男性のスピードにはついていけなくて、次第に距離が広がっていきます。
結局気がつくと、完全におじさんの姿は見えなくなっていて、私は一人になっていました。
どうしよう?
もうすっかり日が落ちていて、私は薄暗い林の中に一人です。
怖くなった私は、仕方なく来た道を引き返しました。
そしてちょうど駐車場に着いた時でした。
後日談:
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