幽霊や心霊の類ではありませんので 怖い話ではないかもしれません。 私の子供の頃、小学2、3年の頃はUFOブームで テレビではほぼ毎日目撃談やら何やら放送してました。 　私もかなり感化されていました。 夏休みのある日テレビの番組でUFO来てくださいって念を送るとUFOがくるというのでその夜に試して見ることにしました。 　夜といっても子供なので20時頃に住んでた家の向かいの小さな空き地でやってみるだけでしたが。 　その夜一人でUFO来てくださいと念をこめて祈っていたら塾帰りの子や通りすがりの知り合い子らに声をかけられて結局7.8人でやることになり、しばらくみんなでUFO来てくださいってやってました。 　割とみんな真剣にやってたんですが、15分ほどすると誰かがあれ何？って空を指さしましたた。 　空の端の方、自分から見て右側の方からラグビーボール型の光がすごい速さで飛んできて見上げてる私達の前でフォークボールを横から見たようにストーンと落ちるような軌跡を描いて左手方面に消えていきました。 そしてそれは一旦視界から消えましたがすぐに左方面からまたすごいスピードで戻って来て右方面へ飛んでいきました。 みんな、最初は唖然としてましたがだんだんと見たものに興奮してきてスゲーとかホントに来たーとか言ってました。 　けれど正体不明のものを見ると最初は良くてもだんだんと恐怖心に変わってくるんですね。 なんだか見てはいけないものを見た気がしてきて早々に退散しました。 　その集まりの中にHくんという同窓生がいました。 　次の日、学校へいってHくんに昨日はすごかったなって話かけたんですがどうも様子がおかしいのです。 彼の顔色は真っ青でした。 　彼は昨夜あれからの自宅に帰ってからの事を私に教えてくれました。 彼は２階に自室があるらしく夏の事で窓を開けて寝ていたそうですが深夜なぜか眩しくて起きたそうです。 　開け放った窓から時折眩しい程の光が差し込んできたそうです。 彼は何事かと思い窓に近づいたそうです。 　窓から外を見てみると周りは畑なのですが少し離れた土手下の畑の上に楕円形の光がふたつ音もなく静止していたそうです。 　 　楕円形の光からサーチライトの様な光が放たれ地面を照らしていたそうです。 まるで畑で何かを探しているかのようだったそうです。 　H君は窓際に隠れてそれを眺めていたらしいのですがそのサーチライトが一瞬H君を照らしたそうです。 そしてふたつの光のうちひとつがH君の家の方にスーッと近づいて来るように見えました。 　彼は怖くなって急いで布団の中に隠れて頭からタオルケットにくるまって寝たフリをしたそうですが何故か光が体にあたっていると感じたそうです。 　彼はそのまま寝てしまったようで朝起きて窓外を見てみましたが何もありません。 　親にも昨夜の事を話したそうですが怖い夢を見たんだろうと相手にされなかったようです。 Ｈ君からその話を聞いた夜のことです。 その夜、とても嫌な夢を見ました。 　夜、食事を終えて家族揃ってテレビを見ていると玄関をダンダンダン！と物凄い力で叩く音が聞こえました。 　母がドアが壊れますから！すぐ開けるからちょっとまってと言いながら急いでドアを開けようと玄関に急ぎました。 　玄関を開ける音と同時にギャー！っと母の悲鳴が聞こえてきました。 　私は何事かと玄関にいくとものすごく大きな体をした茶色い毛むくじゃらの怪物がそこにいました。 　体の大きな怪物は体をかがめながらドアから家の中に入ろうとしていました。　 2メートル以上はあったと思います。 怪物の後ろに一瞬背の低い人影も見えた気がしました。 　怪物は私をみるなり腕を掴んできて私を連れ出そうとしました。 母が私を助けようと怪物の腕にすがりましたが 怪物に物凄い勢いで体を壁に打ち付けられ動かなくなりました。 　私は大声で助けてー！とかお母さん！とか叫びましたが家族は誰も出て来てはくれません。 怪物に捕まり無理矢理手を引っ張られ家の外に連れ出されました。 　その時、周辺の建物には明かりが灯っていてできる限りの大声で叫んで助けを求めても誰も出て来てくれませんでした。 怪物は私を抱きかかえどこかに連れて行こうとしていました。 　そこは今朝Ｈ君からUFOが静止してたと聞いた畑でした。 　土手を降り畑が見えてくると畑の真ん中に丸い大きな銀色の円型の物体があるのが見えました。 　2階建ての家くらいの大きさがあったように思います。 　円形の物体の周りには何かを囲むように数体の怪物がいました。 　そこには数人の子供が立っていました。 あの日、一緒にUFOを見た子らのように見えました。 意識が無くぼーっと立っているようでした。 　円形の物体の上部には窓があってその中から銀色の人型がこちらの様子を見ているようでした。 　銀色の人型は子柄で華奢でした。 空々しく思われるかもしれないですが 今でいうグレイのような見た目です。 ただ、あまり目は大きくなかったように思います。 　私は怖くて固まってしまっていて動けませんでした。 　怪物は私を地面に下ろすと一瞬銀色の人型の方を見ました。 　その一瞬の隙に本能なのか、逃げないと殺される！と思い走り出しました。 そしてさっきの土手を登ろうとしたとき 私は一瞬振りかえりました。 　銀色の物体の上に先程の小柄な人型がいて何かを私の方に向けているのが見えました。 そしてもう一度前を向いた瞬間、背中に熱い大きなものがぶつかった様な物凄い衝撃を感じました。 それきりその後の記憶はありません。 目を覚ますと自宅の布団の上でした。 飛び起きました。 まだ外は暗かったように思います。 ものすごい寝汗をかいていました。 水を頭から被ったようにビショビショでした。 周りを見回すと母が横で寝ていました。 いつもの寝息をたてて寝ていました。 私はそれを見てそやっと落ち着くことができました。 私は服を着替えるとそのまま寝てしまいました。 　あの夜に見た夢がホントに夢だったのかわかりません。 あんなにリアルな夢は見たことありませんし体に受けた衝撃が未だに忘れられません。 　それにあの夢を見た日、私は寝床についた記憶がありません。 　その朝、学校に行くとH君がおり昨夜はUFOは出た？って聞いてみると何を言ってるの？とまったく訳がわからない感じでした。 それどころか一緒にUFOを見た事さえ知らないといいます。 　最初は親におかしな事をいうなと言われたのかなと思っていましがほんとに覚えていないような感じでした。 それにUFOの話をしている時ほんとに嫌そうな感じがしました。 　それはH君だけではありませんでした。 あの夜、一緒にUFOを見た他の子供らも記憶を無くしていました。 覚えているのは私だけでした。 　あの夢を見た日からすべて事が悪い方へ変わっていきました。 　UFOの事を聞くと私が変な事を言う奴だと言われるようになりました。 ワザと遠ざけられるようになったり嘘つきだとか馬鹿だとか言われるようになりました。 　あの時、一緒にUFOを見た子からはそれこそ 差別的な言動をされました。 そしてあれきりH君とも疎遠になってしまいました。以来一言も喋ってくれなくなりました。 　 　大人になって思うのですが、なぜみんなUFOを見た記憶が無くなっているのか？ なぜ私だけ記憶が残っているのか？ 　口裏を合わせて私を苛めたかったにしても あれだけブームの頃に全ての子供らが黙っていられるとは思えません。 　私だけ記憶が残された件についてはおそらく 一人だけ記憶を残して騒がせた方が周りの興味を引きたい子供の嘘として扱われると判断したのではないでしょうか？ 　実際そういう扱いになりましたが子供心にすごく傷つきました。 　自分にとってあの日、みんなでUFOを見たことは真実です。 それは間違いありません。 当時UFOブームで感化されていたとはいえ 飛行機を見間違えたりしていませんし 集団ヒステリーや勘違いでもありません。 あれから40年以上経ちますが未だにハッキリと覚えているのです。 　　 けれど今もあの時も、それを証明する手立てはありません。 今でもとても悔しいと思います。