
私は郊外の小学校で教えている若い教師だ。冬のある夜、職場の片付けを終え、遅くなった帰り道を急いでいた。しかし、校舎の前を通ると、ふと気になることがあった。
その学校の地下室には、数年前まで使用されていた黒板が残っている。以前の教え子が不明に姿を消してしまったため、学校はそのまま使わずに放置しているという噂が立っていた。
ある日、帰宅途中にその黒板の前を通りかかり、ふと立ち止まった。黒板には何も書かれていないと思っていたのに、なぜか薄っすらと文字が浮かび上がっているように見えた。「助けて」という言葉だ。
それから数週間、私はその黒板を時折覗くようになった。気づくと、毎回何かしらのメッセージが書かれていた。時には「ここにいる」とか「出て行け」といったものもあった。それらの言葉は、まるで誰かが生きているかのように、私に向かって語りかけているように感じた。
しかし、ある寒い夜、私はその黒板の前で凍りついた。暗闇の中、地下室の扉が音もなく開き、何かが出てくる気配がした。
恐怖で動けずにいると、目の前で黒板に新たなメッセージが浮かび上がった。「助けて、ここに…」その瞬間、全てが真っ暗になった。
目が覚めると、私は校長室のソファで寝かされていた。校長は心配そうな顔で、「あなたは地下室で倒れていた」と言った。
「でも…黒板に誰かのメッセージが…」
校長は私をじっと見つめ、静かに言った。「その地下室はもう何年も使われていないんですよ。あなたの記憶の中の出来事では?」
不安が胸をよぎった。
結局、教師としての仕事を続けることにしたが、あの夜の出来事は私の心に深く刻まれることになった。数ヶ月後、学校からの連絡で、あの黒板は撤去されることになったと知った。
そして、私の記録にはその日の出来事の詳細が何も残っていなかった。
「本当に、何もなかったのか…?」
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