
長編
お盆
匿名 2021年8月13日
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私は少なからず霊感を持っている、と自分ではそう思っています。
実際に不思議な体験をしたので紹介したいと思います。
私は今まで度々、金縛りにあったり、霊的なものを感じたりしてきましたが、自身に霊感があると確信したのは2年前のある冬のことでした。
当時、かなりの夜行性で夜中に出かけることがよくありました。
この日も夜に双子の兄に車を出してもらい、ドンキ・ホーテで買い物を済ませた頃には深夜2時を回っていました。
兄がいつものように自宅付近のパーキングに停車しようと後退していたら、バックモニターに白い人の手が写っていました。
私はビックリして慌てて後ろを振り向いて確認しましたが、人の気配は全くなく、それどころか人が写れるようなスペースもありませんでした。
今までは、古い建物や心霊スポットに行くと、紫色の渦を巻いた様などんよりとした空気が重たく感じて立ちくらみを起こしたり、頭が痛くなったりする程度だったので、実際に見たのはこれが初めてでした。
全身に鳥肌が立ち、怖い思いをして帰ったことを今でも鮮明に覚えています。
ということを前提にここからが本題です。
私の実家は、お墓と神社を繋ぐ線のちょうど中心に立設しています。
そして私は毎年お盆になると、必ず不思議な体験をします。
最初に体験したのは、6年前の大学1年の時でした。
大学は夏休みに入り、地元を離れ都内で1人暮らしをしていた私は、お盆休みの期間に実家に帰っていました。
その日も暑く、居間の窓際で寝ていると突然金縛りに合いました。
怖くなり目を覚ますと、横になっている私の目の前を蜘蛛が通り過ぎました。
蜘蛛を外に逃して再び眠りにつくと、2度目の金縛りに合いました。
目を覚ますと今度は目の前をカエルが通り過ぎました。
外は雨が降っていて、時計を見ると3時33分ぴったりでした。
部屋の窓は確実に閉まっていて、入ってこれるはずがないのに、窓の外からやって来る蜘蛛とカエルをとても不思議に思いました。
それから1年後の夏休み、私は友だちと遊びたかったのでこの年のお盆は帰らないと決めていました。
この日も夜遅くまで友だちとお酒を飲み、アパートに帰るとすぐに寝てしまいました。
しかし、すごく嫌な夢を見てうなされて、突然金縛りに合いました。
怖いなあと思っていると、携帯には一切手を触れていないのに、勝手にSiriが起動して、「すみません、よくわかりません」という音がシーンとしている部屋に鳴り響きました。
その音で目を覚まし、画面を見ると3時33分と表示されていました。
次の日、霊感の強い友だちにこの出来事を話したところ、実家に帰って墓参りをした方が良いと言われたので、次の日実家に帰って線香をあげました。
翌年、大学3年になった私は彼女ができ、彼女と半同棲をしていました。
ロフトに布団を敷いて寝ていると、「大丈夫?」と言う彼女の声で目を覚ましました。
彼女は驚いた表情で私の顔を見て、私が悪夢でうなされていて、その後、幽体離脱をしていたと話してくれました。
そして私に実家に帰った方がいいんじゃない?と言いましたが、この年のお盆は結局帰りませんでした。
眠っていたはずの私が幽体離脱をするなんて正直、信じることができませんでしたが、当時付き合っていた彼女はすごく霊感が強かったので、不思議な気持ちになったのを今でも覚えています。
( その翌年は寝ずにずっと起きていたので、
特に何も起こっていません。)
去年、アパートを退去して地元に戻った私は、実家でお盆を迎えることになりました。
この日も部屋で寝ていると突然耳がキーンとして金縛りに合いました。
外はザーザー雨が降っていて、どんよりとした空気の中、雨の音と共に「あー、あー」と女性の声が聞こえてくるのです。
2階の私の部屋から鳥居が見えるのですが、そこを黒髪の白いワンピースを着た女性が歩いている映像がふと頭をよぎった瞬間、今度は「ふふふふふ」と笑う女性の声が窓の外からではなく、寝ている私の耳元で聞こえました。
その声はエコーがかかった様なとても不気味な声でした。
全身に鳥肌が立ち、目を覚ますとシーツは汗で濡れていて、時計を見るとやっぱり3時33分でした。
その日は朝まで眠れませんでした。
そして今年、ちょうど今日(8/13)、信じられないような不思議な出来事が起こりました。
昨日1回目のコロナのワクチンを接種して、寝ていた私は金縛りに合いました。
雨がザーザー降っていましたが、その日は怖いといった感じは全くなく、金縛りを解かずにそのまま意識と体を預けてみました。
すると、私の体はスーッと宙に浮き、すごい勢いでぐるぐると回転し始めました。
最初は何これ?とビックリしましたが、途中ですごく楽しく感じてきて、なんとそのまま幽体離脱をしてしまいました。
体が軽くなりハイになった私は、とにかく外に出たくなったので、勢いよく自分の部屋を飛び出して、すごいスピードで階段を駆け降り、玄関のそばに置いてあるタバコをポケットにしまって、水色のクロックスを履いて、鍵を開け、ドアを開けると、いつもの見慣れた景色です。
しかし、外に出てみると、そこにはケルト調の音楽が鳴っていて、1階の和室に居るはずの兄が庭でアイリッシュダンスをしゃがんでやったような変なダンスをしていました。
不気味でカオスなその光景に目を奪われてしまい、本当はもっと遠くへ行きたかったのに、まるで通せん坊をするかのようでこれより先に進むことができませんでした。
そうこうしているうちに気づいたら私は自分の部屋のベッドに戻っていました。
私は息が上がっていて、今のが幽体離脱だったのかとすぐに気づきました。
目を覚まし、まさかと思い時計を確認すると、やっぱり3時33分でした。
全身に立った鳥肌はしばらく引きませんでした。
居ても立っても居られなくなった私はさっきと同じように、同じ道を辿って外に出ました。
しかし、そこに兄の姿はありませんでした。
とりあえずタバコを吸おうと火をつけて色々考えました。
どうしてあれ以上先に進むことができなかったのか。
そして、どうして毎年お盆の日に不思議なことが起こるのか。
兄のあのダンスはきっと、ご先祖様が私を安心させようとして兄の姿に扮していたのではないか。
そして、迷子にならないように、もしくはこれより先は危険だから、進んではいけないと言うことを伝えたかったのではないか。
きっとご先祖様が、霊感がある私に何かしらのメッセージを伝えに来てくれたのではないかと今はそう思っています。
来年はどんな不思議なことが起こるのかわかりませんが、ご先祖様に迷惑のないよう、気持ちよく迎え入れて、送り出してあげようと思います。
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