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『 人気のないレストラン 』
中編

『 人気のないレストラン 』

匿名 2015年6月5日
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俺は嫁とメールのやりとりをしていた。 内容については巷で噂になっている、あるレストランの話だ。 … 嫁[あそこは絶対に行かない方がいいよ] 俺[なぜだ!?] 嫁[友達が言ってたけどね、レストランなのに人気が全くなくて真っ暗らしいの。なんか怖くない!?] そんなに味がマズイのだろうか?お先が真っ暗なくらい…。 俺は逆に興味をそそられた。 俺[バカヤロー!人気のない店ほど掘り出しモンが出るかもしれねーだろ!] 嫁[血まみれの何かが出てきたって噂だよ] 俺は血の滴るステーキが大好きだった。 俺[鉄分たっぷりで良いじゃねーか!そりゃ血が苦手なヤツもいるだろ] 嫁[ホントに出てきたらどうすんの!?] 俺は血の滴るステーキが大好きだった。 俺[褒め殺しするよ] 嫁[やめときなよ~。死んじゃったらどうすんの?] マズすぎてという意味だろうか?俺もナメられたものだ…。 俺[いくらなんでもそりゃ言い過ぎだろ!お店の人に失礼だ!お前がなんと言おうと俺は行く!ステーキ頼んだら写メでも送ってやるよ] 少し間が空いてから、 嫁[メールって怖いよね…] と返ってきた。 全然意味が分からなかった俺は、 俺[うるせー!返信遅いんじゃボケ!] と返した。 それから嫁の返信はなく、メールは終わった。 … 俺は嫁の言うことなど全く無視して、レストランまで全速力で走った。 30分くらい走った。 レストランの近くまで来たときには確かに俺は死にかけていた。 「くそ、おれはまけない…」 しかしレストランの前まで来たとき、ある異変に気付いた。 警察だった。 俺「ど、ど、どうしたんですか?はぁ、はぁ。じけんですか?はぁ、はぁ」 走ってきた俺はロレツが回っていなかった。 警「いやね、ここのレストラン。営業してたはずなのに、あまりにも人気がないから調査してくれって頼まれてね。そしたら遺体が出てきたんだよ」 俺「ひとけ がない?はぁ、はぁ。にんき がないのまちがいじゃ…。はぁ、はぁ」 警「ん?ここは巷じゃ結構な人気店だったよ。まぁしばらく人気がなかったから、色んな噂があったみたいだったけど…、これで無事に解決したね。じゃっ!」 警察は去って行った。 … プップーー!! クラクションの音が響く。 嫁「乗ってく?」 たまたま車で通りかかった嫁に、俺は乗せてもらうことになった。 嫁「なんか解決したみたいだね」 俺の中では何も解決していない。 俺「にんき と ひとけ ってぜんぜんちがうよな」 嫁「あの、全然意味が分かんないんですけど」 俺「…。そうか…」 俺の中では何も解決しなかった。 嫁「メールって怖いよね」 そんなことを嫁はボソっと呟いた。 と、同時になぜかチラ見された気がする。 たぶん気のせいだろう、走ったから疲れてたんだと思う。 俺は心のどこかに、ポッカリ穴が空いているように感じた。

後日談:

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