
私は今、祖母が働いていた古い病院にいます。これは私が幼い頃に体験した不思議な出来事です。
当時、私は小学校に上がったばかりで、病院の中を探検するのが大好きでした。いつも祖母が忙しそうに働いているのを横目に、私は診察室の隅々まで走り回っていました。祖母は私の好奇心を優しく受け入れてくれました。
その日は、祖母が手術室の準備をしている間、私は一人で待機室に残されました。ふと、待機室の一角にある古びたキャビネットが目に留まりました。いつもは何かが置いてあるのに、今日は空っぽでした。「何があるんだろう?」という少年の好奇心が私を駆り立てます。
キャビネットを動かし、扉を開けてみると、そこには医療器具が散乱しているだけでした。特に興味を引くものはなく、「つまらないな」と少しがっかりしました。しかし、上の方にさらに小さな扉があるのに気がつきました。「この先は何だろう?」
私は、キャビネットの中に身を乗り出し、その扉に手をかけました。扉を開けると、まるで暗闇の中に吸い込まれるような感覚に襲われました。そこには、薄暗い空間が広がっており、医療器具の影が壁に映っていました。私は、部屋の奥に何かの箱があるのを見つけました。
興味を持った私は、その箱を調べる勇気がなかったものの、そこから出て行くことにしました。時間が経ち、2年ほど前に、何気なくこの出来事を思い出しました。もう一度、あのキャビネットを開けてみようと思い立ったのです。
祖母が留守の時、私は再びその病院に足を運びました。あの扉を開けた瞬間、目の前には変わらぬ待機室が広がっていました。しかし、あの時の暗い空間は完全に消えていました。私の記憶の中だけに存在していたのか、それとも別の次元に繋がっていたのか、疑問が浮かびます。
その瞬間、私は恐怖を感じました。幼い頃の自分はどこにいたのか、あの不気味な空間は一体何だったのか。深く考えるほど、その体験は不思議なものでした。
来年、あの病院は取り壊されることになっています。リフォームの前にもう一度、あのキャビネットを開けてみるつもりです。
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