
短編
もしもし
匿名 2日前
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わたしが非常勤講師をしている専門学校でのこと
「先生」と、学生のTくんに呼び止められた
「ちょっと妙なことがありまして・・・・・・・・」
このT君は三日ほど前、友だちのマンションに遊びに行った
会話がはずむ中、知らない声が聞こえてきた
「もしもし、もしもし」か細い女性の声である
最初は自分たちに向けられたものではないと思って無視していたが
数分たつとまた・・・・・・・・・
「もしもし、もしもし」
同じことが四、五回も続くとさすがに黙っていられない
「おい、さっきから誰かが、もしもしって言ってないか?」
っとT君が言うと
友だちも「お、お前も聞こえるか?こんなの初めてだよ」
っと震え上がっている
その声は部屋の向こうからするようなのだが
部屋の外は非常階段・・・・
そこに人がいたならもっと響くはずだという
それも、大声を出したらの話しだ
窓を開けて見るが誰もいない
変だなぁ、と二人で首をひねっていると、また声がした
「もしもし、もしもし」
今度は部屋の中からだ
そう思うと怖くなってきた・・・・
「一体、誰だ?どこにいるんだ?」と言っていると
T君の携帯電話が鳴った
リリリリリリ・・・・リリリリリリ・・・・
着信の番号が表示されていない
さっきの妙な声のせいで、出るのが何だか怖い
そう思っているうちに留守番モードに切り替わった
リリリリリリ・・・・リリリリリリ・・・・ピー
「でね、先生、これ」とT君はわたしの耳に携帯電話を近づけた
「この女なんです!この声、このしゃべり方」
確かにか細い女の声でもしもしを繰り返していた
もしもし、もしもし、もしもし、もしもし・・・・・
この怖い話はどうでしたか?
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