
私にはある特殊な能力があり、霊的な存在を感じ取ることができる。その力をうまく使えないことが多く、日常生活で不思議な出来事に悩まされていた。
ある冬の夜、友人の陽介と一緒に廃工場に肝試しに行くことになった。外は冷え込み、薄暗い工場の中には奇妙な静けさが漂っていた。その時、私はふと赤いブランコが目に入った。ブランコはひと気のない工場の片隅にあり、誰もいないはずの場所で揺れていた。
「おい、あのブランコ、なんか動いてないか?」陽介が言った。
私はブランコの方へ近づいてみると、そこには赤いスカートを身にまとった少女が座っていた。彼女は何も言わず、ただ遠くの方を見つめていた。寒いのに、なぜか彼女は薄着だった。
「大丈夫か?」と声をかけると、少女はゆっくりと顔をこちらに向けた。その瞬間、私の心臓がドキッとした。彼女の目は空虚で、何も映し出していないように見えた。
「私のことが見えるの?」彼女が静かに言った。驚きと恐怖で体が硬直した。
「見えるよ…でも、どうしてここにいるの?」私は思わず尋ねた。
彼女は微笑んだが、その笑みはどこか不気味だった。「みんな、私を見てくれないの。だから、あなたが特別なの。」
その言葉に何か引き寄せられるような感覚を覚えたが、同時に恐怖が押し寄せてきた。私は陽介に目を向けたが、彼は驚いた様子で立ち尽くしていた。その時、少女はブランコから立ち上がり、私の方へ近づいてきた。
「お願い、私と一緒に行こうよ。」彼女の声は甘く響いたが、どこか冷たかった。私は後ずさり、逃げるように工場の出口へ向かった。すると、背後から少女の声が聞こえた。「逃げないで、私を無視しないで!」
私は全力で走り出したが、彼女の声はどんどん大きくなり、耳鳴りのように響いてきた。「お前のこと、ずっと見てるからな!」その言葉が頭の中にこだまし、恐怖が増した。
やっと廃工場を出た時、私は息を切らし、振り返った。そこには誰もいなかった。しかし、心の奥に彼女の存在が確実に残っているような気がした。
それから数日後、私は友人と話している時に、あの廃工場についての噂を耳にした。「赤いスカートの少女が現れて、見たら最後、連れて行かれるらしい。」
私はその話を聞いて、身の毛がよだつ思いをした。あの夜、彼女が言った言葉を思い出し、背筋が凍るようだった。そして、今でも廃工場の近くを通るたびに、彼女の視線を感じるような気がしてならない。
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