
中編
囁く事
砂凜 2015年3月30日
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高校の頃に、変な噂が流れていた。
幼馴染のA子から、そんな話を聞いた。
私もクラスで話になって、内容が気になっていた。
その内容が、耳元で言葉を囁かれたら、その内容と同じことが現実で起きる、ということだった。
でも、そんな都市伝説みたいに人や化け物が出てくる話ではなく、「囁くだけ」と聞いた時に、私は「新手のデマなんだろうなー」って思ってた。
A子も笑いながら話してたから、そんなに信じてなかったと思う。
そんな話してたら、B子が寄って来て、
「その話って続きがあるらしいよー。なんでも、囁かれてから48時間以内に次の人に囁かないと死んじゃうらしいよ」
B子もこれ系の話が好きで、たまに怖い話をしてきて、私達を怖がらせようとしてくる。
学校が終わり、3人でバスで帰ってる時に、週末の3連休は隣町に買い物に行こうって話になった。
でも私は吹奏楽部の練習が入っていて、「月曜日なら大丈夫だよ」って伝えた。
B子も用事があるらしく、月曜日に買い物に行くことになった。
なんでもA子は彼氏が出来て、デートで着ていく服を一緒に選んで欲しいとのことだった。
私とB子は、A子に彼氏が出来る時に応援してたから、付き合ったあとも「私達に手伝うよ」って約束していた。
B子が「私も彼氏欲しいなー! A子いいなー!」と羨ましがっていると、A子がB子に、
「彼氏の友達紹介しようか?」
って言ってきた。
B子が「何部の人?」って聞いたら、耳元で「バスケ部」って言ったら、B子がニヤニヤしながら「お願いします」って頭を下げてたのを見て、私は笑っていた。
その夜に、B子から「買い物行けなくなった」って電話が来た。
私とA子だけで行くんだったら、彼氏と行けばいいのにとか思いながら、A子に「B子が行けなくなった」って電話した。
A子は、彼氏と服を買いに行くのが恥ずかしいらしくて、結局二人で行くことになった。
A子は日曜日の夜に彼氏の家に泊まってから行くねーと言ってきたから、
「リア充乙! リア充乙!」
とか冷やかしながら電話を切った。
そして土日の部活動が終わり、家でテレビを見ていたら、B子から電話がきた。
A子が死んだらしい。
彼氏のアパートの階段から転んで頭を強打、が原因だと聞いた。
病院でA子の死体を見ても、死んだとは思えなかった。
転んだ時に周りには野菜の入った袋と携帯があったらしく、今は霊安室の机の上に置いてあった。
A子の親は医師と話してるみたいで、霊安室には私とB子だけだった。
B子はA子の死体に泣きながら何か言っていた。
私は机の上にあった携帯を手に取っていた。
A子はよく自分の写真を撮っていたので、私はそれを見て泣いていた。
泣きながら携帯をいじっていて、間違えて着信履歴が出てきた。
私は崩れ落ちながら、
「A子ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…」
A子を殺したのは、私だった。
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