
長編
祖母の家で見た怪異
匿名 2024年8月16日
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初めて投稿します。
私の友人、Kくんの話です。
私自身霊感ゼロの鈍感人間ですが、Kくんがしてくれた実体験がめちゃくちゃ怖かったので、お盆ということもあり書き込みます。
文才も何もないですが、お手柔らかにお願いします。
Kくんの祖父母宅は、大阪の淀川沿いにあるCという地域にありました。
昔からのお家で、庭なんかもある小さなお屋敷だったそうです。
お屋敷といっても50坪ないくらいのもので、門から玄関までは15歩ほど。
家屋を挟んだ奥側に小さな庭が広がっており、蔵もあったそうです。
今回は母屋で起こったお話なので、建物の造りをご紹介します。
南向きの日当たりの良いお家で、玄関は昔ながらで広めで、そこからT字に広がっています。
向かって右(東側)にすりガラスの引き戸があって食堂、今でいうダイニング。
向かって左(西側)は廊下で、廊下沿いの右手に仏壇を置いてある仏間、その奥にも客間に使うような和室、さらに奥の突き当たりは応接室のような居間があります。
昔の建築ですから、不思議な造りで、その居間を通り抜けるような形で、建物の西側壁際に2階への階段があるんですね。
5cm程の木の柱が等間隔に桟のように天井まで伸びているタイプの階段で、柱と柱の間にも5cmほどの隙間があります。
Kくんが小学校高学年の頃、家族揃って祖父母宅に帰省をしました。
「せっかくだし、みんなでお寿司でも食べに行こう!」となったそうですが、小学生でゲームがしたかったKくんは「ちょっと考えるわ」と言い、2階の洋室でゲームをして、そのまま眠ってしまったそうです。
目が覚めて、「あれ?寝ちゃったか?」と1階に降りようとしますが人の気配がありません。
先述したような昔ながらのお家ですから、階段を降りる時点で、柱の隙間から1階の様子が分かるんですね。
帰省で複数の世帯が集まってる訳ですし、居間から団欒の声やテレビの音が聞こえてもおかしくありません。
夕方も過ぎて暗くなっていることもあり、自然光だけでは頼りなく、階段の電気をつけて降りてみましたが、やっぱり人の気配がない。
すると、そこから暗いままの居間と長い廊下を挟んで、食堂が見えます。
途中の廊下には、電気が付いていて、食堂との境目にあるすりガラスの引き戸越しに誰かの足が見える。
食堂は、これまた昔ながらで入ってすぐに電話台が置いてあり、左手に6人掛けくらいの大机、その奥にキッチンが広がっている造りでした。
「なんだ、まだ誰かいるやん」
「電話してんのかな?」
と廊下をトコトコ歩きはじめましたが、何かがおかしい。
確かにすりガラス越しに足は見えるんだけど、肌色なんですよね。
まぁそりゃそうなんですけど。
肌色が見えたから、「そこに人がいる」と分かったわけですが、何かがおかしい。
まず、どうも細さ的に見えてるのは【子どもの足】なんですよね。
Kくんの家は一人っ子で、この日は祖父、祖母、父、母、離婚したばかりの独身のおじさん(父の弟)、Kくんという構図でしたから子どもは自分以外にいないはずなんです。
「気味悪いなぁ」と向かう足が遅くなります。
でも、勝気で物事を深く考えないKくんですので「えいっ」と引き戸を開けました!
そこには誰もいなかったんですね。
「わ、怖っ!」と思ったものの、その時点ではそこまで恐怖の絶頂ではなかったといいます。
しかも、そもそもおかしいのが食堂は真っ暗だったんです。
階段を降りてすぐ、居間は電気が消えていたものの、煌々と明るい廊下を挟んで、すりガラス越しで、なぜ真っ暗な食堂にハッキリと肌色が見えたのか?
先程の肌色が見えたことの違和感はこれだったんですね。
床の色も茶色で、廊下からすりガラス越しに見ても肌色が見える要素なんてありません。
そんな事を考えているといてもたっても居られなくなりました。
するとジリリリ!!と電話台の黒電話が鳴りました。
ビクッとしたものの「もしもし、Kです」と電話に出ると母からでした。
「お寿司屋さん来てるけど、何か食べたいのある?持ち帰りしたげるよ」と言われました。
心底ビビっていたKくんは「適当でええよ」と返し、すぐに電話を切りました。
「なんやねん、ビビらせやがって!」と悪態をついたものの、何気ない日常の電話でさっきの不思議現象は頭のどこかにいっていました。
「ゲームでもしに2階に戻ろう」と居間の方を向くと、居間の電気がついています。
「あれ?居間の電気はつけた記憶ないぞ?」
と思いながらも、自分が寝ぼけていたのか?などと考えていると、パッと居間の電気が消えました。
居間には大きなテレビを置いていたそうですが、同時にテレビがついたのが分かりました。
真っ暗な部屋に反射した光と電子的なテレビの音声が流れてきたためです。
さすがに
「え?異常な事態が起こってる?」
と感じましたが、先述した独身のおじさんも祖父母と同居しており、2Fに部屋がありました。
そのため
「おじさんも家に残ってたのかな?」
「2階におって、昼寝から目が覚めて降りてきたんかな?」
などと思い、居間に向かいました。
玄関前を過ぎ、仏間を越えたあたりで今度はテレビがパチッと消えた音がしました。
「なんや、やっぱりおじさんか。」
と、そのまま進んで廊下から居間に入り、電気をつけた瞬間、また愕然となりました。
居間には誰もいないのです!
「え?だって、部屋の電気が付いてたり、消えたり、テレビが付いたり消えたりしてたやん!」
といよいよ訳が分からなくなりました。
パニックになりかけた矢先、居間に入るタイミングでつけた部屋の電気がパッとまた消え、同時にテレビの画面がプツッとONになりました。
映っている番組は至って普通で、夕方お決まりのNHKの教育番組。
でも、そんなことどうでも良くって、今起こってることは普通じゃなくって、、、。
そんな事を考えながら、もう一度壁のスイッチに手を伸ばして居間の電気つけます。
電気をつけた瞬間!
テレビの画面がブチッとOFFになりました。
心霊現象だなんて考えたくないので、「故障か?配線か?」と小学生ながらに考え、なんとか落ち着きを取り戻そうとします。
するとまた!
居間の電気が消え、テレビの電源がつきました。
また居間の電気つけます。
やはりつけた瞬間にテレビの画面はブチッとOFFになります。
「なんだ、やっぱり故障じゃないか。」
なんとか自分に言い聞かそうとします。
そして3秒ほどするとやっぱり居間の電気が消えました。
でも、今度は違いました。
居間の電気が消えた瞬間、友人が壁のスイッチにもテレビのリモコンにも触れてもいないのに、
テレビの画面だけパチッとついては、消え、またついては、消えと繰り返しはじめました。
真っ暗な部屋の中でテレビだけが狂ったようについたり消えたりを繰り返します。
「いよいよテレビが壊れた?てかどっちにしても怖いんやけど」などと思いつつ、あることに気づきます。
居間の電気は真っ暗になりましたが、背後の廊下の明かりと、ついたり消えたりを繰り返すテレビの明かりから部屋の中の様子は薄っすら見えるんですね。
視界の端、階段の方から何かが反射しているんです。
間取り図的にいえば、居間は、東側の右下が廊下からの入口、応接セットのソファを挟んで北東の右上にテレビがあります。
右下の入口からそのまま左に突っ切れば、西側の壁際に最初にご紹介した2階への階段があるんですね。
廊下の薄ら明かりと、ついたり消えたりをしきりに繰り返すテレビの明かりだけの暗闇の中で、友人は見てしまったのです。
その階段の柱と柱の5cmほどの小さな隙間から、目をかっ開いて、こちらをじぃ~っと覗くおかっぱ頭の女の子を!!
その白目の部分にテレビの画面が反射してチラチラ視野に入っていたんですね。
そこで友人は気を失ったそうです。
起きてみると居間のソファで寝ていたようで、家族みんなが家にいました。
とてつもない恐怖体験をしたことから、半ば八つ当たり的に「なんで誘ってくれんかってん!」とKくんが投げかけると、母はこう返しました。
1Fから「お寿司、出発するよ~」と誘ったけど、2Fからあんたが「行かな~い」て返事したんじゃない。
そんな事、言った覚えがありません!
そういえば、おかっぱの女の子が覗いていた隙間、どう考えても人間が寝そべれないくらいのところなんですよね。
階段は1段ずつ上にのぼっていくので、柱と柱の隙間と地面との間隔は段々と小さくなっていくわけです。
あのおかっぱの女の子が覗いていたのはその最上段の隙間、5cm×5cmくらいの空間。
「あぁ、やっぱりあれは人間じゃなかったんだなぁ」とその時分かった。
と、Kくんは語っていました。
ちなみに母は、電話でKくんとは話していないそうです。
お寿司を買って帰ってあげようと電話をしたけど誰も出なかったので諦めた。と言っていました。
Kくんが電話で話した相手は誰だったんでしょうか?
後日談:
- 聞いた時は「寝ぼけてたんじゃないん?」「実際、故障してたんじゃないん?」と疑ってかかってました。 鈍感人間の私としては、錯覚ともいえるような有り得る想定が現実感増してすごく怖かったです。 ちなみに、友人の祖父母宅があるCという地域は淀川沿いで下流にあるため、昔は船着き場のちょっと入り組んだところに水死体なんかが流れ着いたりしたそうです。 他にも2、3個、実体験を教えてもらったのでまた時間見て挙げますね。
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