
大学生の頃、風邪をひいて高層ビルの一室で寝込んでいた時の出来事です。
ある夜、目を覚ますと、動けないことに気づきました。
また金縛りか……とため息をつきながら、再び眠りに落ちることにしました。
実は、私は以前から金縛りに悩まされていて、体調が悪い時には特に多かったのです。心霊現象とは考えず、身体の疲れが原因だと自分に言い聞かせていました。
目を閉じているのに、周囲の様子がわかるという人もいますが、私の場合は真っ暗で、音や感触が際立っていました。
その夜、何かが擦れるような音が聞こえました。
ずり……ずり……と、何かが近づいてくる音。
無視して眠ろうと考えるほど、音への感覚は鋭くなっていきました。その音は、誰かが私の部屋に入ってくる音だと確信しました。
気配が近づき、息遣いさえ聞こえるほど近くで、誰かが私を見つめていると感じました。
恐怖をこらえて目をぎゅっとつむると、冷たい感触が額に触れました。
誰かが熱を測るように、私の額に手を当てているのです。その手は、冷たく華奢でした。
どこか、母の手を思い出させるような優しさがありました。
その手は、私を撫でてくれました。冷たい手の感触が心地よくて、再び眠りに落ちてしまいました。
その後、彼女は度々私のもとに現れました。特に怖いことをするわけではなく、ただ優しく手を当ててくれるだけの存在でした。金縛りは嫌でしたが、彼女が悪霊ではないことは、優しい感触で知っていました。
それから約1年後、また金縛りになったのです。足元に気配があり、いつもの彼女だとすぐに分かりました。
彼女は優しく私の頬を撫でていましたが、次第に異変を感じました。手つきが強くなり、撫でるというよりも押しつけるような感触になっていきました。
硬いものが頬に触れ、私は彼女が爪を立てていることに気づきました。手の力はどんどん強くなり、彼女は私の首を絞め始めました。
「ゔううー。ゔあああー。」
恐ろしい声が耳元から響きました。彼女が私の首を絞めながら、何かを呟いているのです。
私は恐怖以上に、信じていた存在に裏切られたような悲しみを感じていました。なぜ、この人がこんなことをするのか。頭が混乱し、いつの間にか気絶しました。
目を覚ますと、朝でした。その日以降、彼女は二度と現れませんでした。
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