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長編

潮鳴様

匿名 7時間前
怖い 20
怖くない 28
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すべて、海のかわりだったのだ。 奥に立つ白い姿が、ゆっくりと、手を伸ばす。 その指先は溶けるように空気に消え、代わりに波音が満ちてきた。 佐原の耳がふさがる。 鼻と口に潮が入る。 だが苦しくない。 それは、帰る感覚だった。 彼は、最後にこう呟いた。 「……もう、忘れないよ」 そして、静かに、沈んでいった。 ⸻ その日、森の入口にて、警察が一人の男の靴と手帳を発見した。 手帳の最後のページには、震えるような字でこう記されていた。 「潮は鳴っている」 「ここは 海のかわり」 「シオナリ様が わたしを覚えていた」 「だから わたしも 思い出した」 「神は 孤独だった」 「だから しずんだ」 それ以降、森の中に入った者はない。 いや、入ったのかもしれないが――戻ってはこなかった。 海は今日も、何もなかったかのように、静かだった。 けれど耳を澄ませば―― どこかで、潮が鳴っている。

後日談:

  • 以前別の怪談サイトにも投稿した話です。

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